故林広志という名前はずいぶん前から知っていた。
この人がコント作家だということを知っており、
なかなか面白いコントを書く人であるということも聞いていた。
今回、機会があり見ることができた。
コントRemixとしてたくさんのコントが上演される。
今回は13本のコント。
大体1本、7-8分くらいの計算になる。コントは難しい。
劇場内が、お笑いに転化していく瞬間がある。
そこに火がつくとドッカンドッカンという笑いが起きることになる。
そこに至らないまま進んでいくと何とも物足りないものになってしまう。
故林広志はクールなアプローチをするコント作家なんだなと思った。
ちいさな出来事の差異や小さな空気の差異を笑いにしていく。
それは高度なテクニックがいるし、実際、かなり難しい。
俳優に頼る時もあるだろうし演出に頼ることもあるだろう。
今回はピチチ5の福原充則が演出を担当。
舞台後ろで背をしゃんと伸ばしてメモを取りながらいらっしゃる姿が印象的だった。
俳優は7名。キャラクターの強い、面白い方々をキャスティングしている。
特に、お笑い界の今立進(エレキコミック)は固定ファンがいるのだろう。
劇場前席に、集団で女の子たちが座っていておおいに受けていた。
お笑いコントライブなんかに行ったときにもそのような女子たちがいて、
そこのブロックだけ受けているという現象が起こるの。
今立はエレキコミックでつっこみを担当しているそうで、
最後の満塁サヨナラでは全キャストが出てきて
彼らの前で突っ込みを繰り広げていた。
これは全編アドリブなんだろうか?
突っ込むのも阿吽の呼吸が大切なんだなと
ライブを見ると肌に痛いように感じることが出来る。
お笑いを志すものは是非ライブに行ってその感覚を磨くことが大切だと思う。
そのために劇場があり、そこで若手芸人は鍛えられるべきであるという方法論は王道。
クールな観客に鍛えられることが重要。
ファンと慣れ合いにならないで高い状態を保ち続けること。
そのようなことを感じた公演だった。
一番、印象に残った演題は「衛星中継」。
日本のテレビ局のニュースキャスター(森谷ふみ)とブ
ラジルの現場に行っている記者(菅原永二)が衛星回線の悪い状態で
コミュニケーションの悪いやりとりを繰り広げる。
それがどうにもアバンギャルドで面白かった。
意味が全くつながらない会話からシュールな世界が見えてくる。
3月22日まで。