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ブザンソンとはフランスの東南部にあるスイスに程近い古い街である。 今回、ブザンソン国立演劇センター芸術監督シルヴァン・モーリスがこの企画を提案し、 イランの若手劇作家、レザ・コヘスタニと平田オリザが組んで三人の共同作品というような形で、 ブザンソンで公演が行われたらしい。 折り込みのブロウシャーにリベラシオン誌の劇評が掲載されていた。 この舞台は大きく分けて三つのパートから構成されている。 まずは、シルヴァンの担当したプロローグとエピローグ。 おおげさなスピーチからこの舞台は始まる。 ブザンソン初の国際的な交流であるというところから始まって、 多くの来賓のみなさまをこれでもかというくらいに詳細に紹介するシーンは 皮肉が利いていて面白い。 来賓の方々の肩書がいかにもという感じでユーモアを誘う。 エピローグは、ガスマスクをかぶったダンスである。 クリスマスソングとその真逆にあるガスマスクの姿。 その対比が現在を語る。 その間に二幕の物語がかたられる。 一幕は平田オリザ担当の「クリスマス・イン・テヘラン」。 これはまさしく青年団の芝居である。 言葉が違っても平田オリザのスタイルは変わらない。 フランス語と英語、ペルシャ語と日本語が混じり合い独特のコミュニケーションが 生まれハーモニーを奏でる。 ああ、こうやって人は何とかコミュニケーションを取ろうとするのだなと思う。 そして言葉が理解できてもどうしても理解し合えないことがあることも 同時に教えてくらる。「赤鼻のトナカイ」のエピソードがそれを示唆する。 フランス人俳優は赤鼻のトナカイのエピソードについて自分の考えを話す。 しかし、そのことがうまく伝わらない。 男はいらだつがどうしようもない。 決してわかりあえないものがある。大きな壁があるかのようである。 映画監督マノエル・ド・オリヴィエイラの作品で 「永遠の語らい」という作品がある。 ここに僕の大好きなシーンがある。 大型客船の食堂で各国の船客が同じテーブルで食事をしている。 そのときの会話の言葉は英語とフランス語イタリア語とポルトガル語。 それらが一堂に話される。 わかりにくいところは、わかる方がわからない方に通じる言葉で通訳をする。 喋るのは自分の国の言葉で、聴くのは4カ国語である。 映画はそのシーンにたいして何の破綻もなく進んでいく! これがヨーロッパなのか!と驚いた! そして今回の舞台である。 さらに多様な組み合わせがこの舞台では行われている。 日本とイランとフランス。 宗教観も文化も何もかもがまったく違うものたちが一堂に会する。 クリスマスプレゼントを渡すシーンが楽しい。 平田のこういった描き方がいつも心に沁みてくる。 休憩を挟んで第二幕である。 ここはイランのレザの担当である。 彼は平田の「クリスマス・イン・テヘラン」に触発され、 そのバックステージを描きたいと思ったそうである。 題名は「サン・ミゲルの魚」。 舞台は本当にさっき行われた「クリスマス・イン・テヘラン」の舞台裏である。 俳優である彼らは舞台の上ではコミュニケーション豊かな人々を演じているが 実際はそこまで流暢な交流が出来るはずもない。 コミュニケーションをとろうとするとそれが逆効果に働いたりする。 たとえば、ひらたよーこが千秋楽を迎えたのでケーキを焼いて 皆で乾杯しようとワインとケーキを運んでくる。 なぜか、キノコ雲の形をしたケーキを前に、ひらたはスピーチをする。 日仏の友好について、まず戦前のフランスが日本に開国をせまったことや、 フランスが仏領インドシナとしてヴェトナムなどを初めとする東南アジアを 占領していたことなどが語られる。 俳優たちはそのスピーチのフランス語訳を読んで、その場からいなくなってしまう。 そんなエピソードである。 二幕ではずーっと、わかりあえないことの哀愁が描かれる。 静かな静かな世界である。 「クリスマス。・イン・テヘラン」が陽の世界を描いたとしたら、 この「サン・ミゲルの魚」はその真逆を描いている。 その、どちらもが現実であり、イラン人たちはこの公演を終えると さらに過酷な現実に戻っていかなければならない。 それを静かに受け入れながらこの舞台は進行していく。 不思議な構成の舞台だった。 この試みは興味深く、今後、手間がかかるかも知れないが このような交流がもっと進めばいいと思った。 そういう意味でもF/Tトーキョーのセレクトに感謝したいと思った。
by haruharuyama
| 2009-03-25 08:56
| 舞台
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