東京デスロックの東京最終公演が面白かったので、
きらり☆ふじみまで行ってみようという気になった。
たまたま、この日は仕事で国分寺方面に来ることがあり、
武蔵野線を使って朝霞で乗り換えて埼玉県へ。
ふじみ野という駅のひとつ手前に「鶴瀬」という駅がある。
新興の住宅地のような場所。
このあたりは、以前一面の農地だったのだろうなあと思うようなロケーション。
駅を出て延々と東へ向かう。
谷津公園を経てさらにあるくと田んぼのまんなかみたいな広大な敷地の中に
富士見市の行政が集まっていた。
市役所・図書館・体育館・消防署の間に、このきらり☆ふじみホールはある。
駅から徒歩で約20分。
自宅からだとほぼ二時間以上も移動に費やすことになる遠距離にある劇場。
この場所の不便さを逆手にとって地域と一体化した演劇活動が
出来ると面白いなあと思う。
周りに食べるもののお店がほとんどないのは、さいたま芸術劇場にも似ている。
自動販売機でパンやチョコレートが売っている。
本公演時には近所の和菓子やさんが、どらやきと助六寿司を売っている
コーナーが設置されていた。
青森の浪岡映画祭にいったときも、食べるものをこういった出店で購入し、
いただいていた記憶がよみがえる。アットホームな作りがほほえましい。
近所のたいていの人はここまで車で来るのだろう。
広大な駐車場があり、道路が整備されている。
さて、本作は多田淳之介演出の「リア王」である。
シィクスピアの4大悲劇のひとつをデスロック風にアレンジすると!
多田は折り込みの案内の中で、「老い」をテーマにこれを描きたいと書いていた。
なるほど!娘たち(長女&次女)に自分の領地を分け与えたリア王は、結局のところ裏切られる。
素直でストレートな三女は、勘当のような形で祖国から離れていたのだが、
父親のリアを助けるべく戦いを挑むが死んでしまう。
そしてリア王もそれに続くように狂って死んでしまう。
という救いようのないお話である。(簡単に要約しすぎましたが。)
これを多田は劇中曲として「演歌」を効果的に使いながら物語を進めていく。
演歌に着物で激しく動きながら舞い踊る。
まるで日本の情念のものがたりのような舞台が展開される。
リア王は「老い」を表現するため、それを体験するための器具を
身体じゅうにとりつけている。
関節は拘束され、オモリが取り付けられ、ゴーグルで視界は遮られ、
ヘッドホーンで聴力が奪われた状態で演技する。
演技なのか本当なのか最初わからないが
身体の動きをみているとああそうなのか!納得。
劇場は広く、そこに高さ2メートル強の富士山のようなかたちをしたオブジェが舞台となっている。
四角錐の台形状のセット。
俳優たちはその急な斜面を登ったり降りたり、すべりおちたり、転げ落ちたりする。
その激しい動きが演歌の激しさと呼応し、そしてシィクスピア悲劇の激しさにつながっていく。
蜷川幸雄の名前を多田氏自らが挙げていたが、
そのような強さを感じる演出に出会えた。
ここまで遠い道のりをはるばると来てよかったと思った。
「天城越え」♪ が何度も舞台で流される。
終演後アフタートークで、多田さんが、政治が変わると、演劇を行う環境も変わるんです。
といったことが非常に興味深かった。
行政と芸術活動には深い絆があるのだろう。
それを守ることもわれわれ市民の役割なのかもしれない。
本日は千葉県知事選。