フィンランドと言えばOECDの学力調査で常に上位にいる国というイメージがある。
さらに、高福祉国家で、世界的な企業が出てきているというイメージ。
ノキアなどがその典型的な例。
新書の帯には、国際競争力ランキング4年連続1位と書かれている。
この世界的な不況の中、北欧の国々の試みが再評価されている。
高い税金に対する代償として、安心して暮らせる国であるという保障がある。
この独特な面白い国フィンランドの大学で学び、
フィンランドに8年間住んだことのある堀内さんが
Eメール日記として書いていたものを、
長野にある地方紙「北信ローカル」(堀内さんは長野出身)で連載したものを
まとめたのが本書である。
フィンランド1冊まるわかり読本とでもいえばいいのだろうか?
フィンランドと言えば地理の教科書では森と湖の国ということぐらいしか書かれておらず、
また、ムーミンを生んだ国として日本人には知られている。
ノキアという携帯電話で有名な大企業が世界を席巻し、
映画で言うと、アキ・カウリスマキという監督の独特な暗い映画や、
映画「かもめ食堂」に代表されるようなロケーション。
また、ジムジャームッシュプロデュースだった
「ナイト・オン・ザ・プラネット」でいろんな国のタクシー運転手を主人公にした映画があった。
その中のひとつとしてフィンランドのヘルシンキが舞台になっていたことを覚えている。
酔っ払ってしまったタクシー運転手とその仲間の話。
本書でもフィンランド人の飲酒のことについて書かれていた。
飲むときはとことん飲み泥酔する姿をみるのは日常的であるということ。
また、アキ・カウリスマキの映画で感じていたことだが、
会話が全体的に暗い感じがする。
淡々とぼそぼそとした会話。
本書を読むとそれこそがフィンランド語の特徴であると聞き納得。
アキ監督の演出でわざとそうしているのではないのだということがわかった。
フィンランド人の労働スタイルとして、あまりたくさん働かないというのがあるみたい。
たとえば、残業はしない。有給は完全に消化する。
そして、その収入の中で楽しく暮らす。というもの。
それでも尚、失業率が7%近いそうであるが、
フィンランドでは働いていなくても生活は保障されるので安心。
というのが大きな違いだろう。
生涯学習という考え方もいい。
いくつになっても勉強をしようと思えば様々な学習の機会を得られることができる。
それが国民全体のレベルアップにつながり、
結果、国際競争力が上がるのだろう。
もともと全てのフィンランド人が英語をしゃべることができるというのも大きいのかもしれない。
教育を重視している国家の姿が見える。
小学校は1クラス20数人で副担任もいる。
そして高校卒業試験に受からないと高校を卒業出来ない。
日本のように入ってしまったらとにかく卒業できるという学校とは大違いである。
人口500万人の国と1億2000万人の日本とは単純に比較は出来ないが、
様々な興味深いことを知ることが出来た。
ちなみにフィンランドは日本と同じく靴を脱いで家に入るそうである。