東京都の文化政策が徐々に変化してきているのか?
最近、広く面白そうなものをと努力しているように思える。
先月の「F/Tトーキョー」もそうだった。
新聞に出ていたが、あのイベントに東京都は2億円の予算を出したそうである。
それくらい意味のあるイベントだったと思うが、
興味のない人には無駄遣いに見えない努力が必要である。
芸術が心を潤し明日への力となるのも事実。
仕事で恵比寿に来る用事があり、写真美術館によった。
「やなぎみわ展」というのをやっており、最初、入ろうかどうしようかためらった。
おばあさんがサイドカーの助手席に乗って大口を開けて笑っており、
その口元から金歯がキラッと光っているという写真が表紙になっていた。
「なんじゃこれは?」
とその不思議な写真を見て思った。
こういった写真を撮る写真家の展覧会なのだろうか?
今回はこのような老婆ばかりが写真に登場している。
その全シリーズがここに展示されているとわかり、
やなぎみわという人を理解してみようと思い、800円払って入館する。
コインロッカーに荷物を預けると身も心も軽くなる。
もちろんコインロッカーの100円は戻ってくる。
余談だが、この美術館のロビーに「1010」という
銭湯好きのためのフリーペーパーが置いてあった。
4月号。
「銭湯検定」が始まったとか、都内のいくつかの銭湯の紹介がされている。
さて「やなぎみわ展」である。
圧倒的な大きさの写真の作品が展示されている。
写真は奇妙な光沢がある。
良く見ると、アクリルかガラスのようなもので写真前面が蔽われている。
で見ていて、わかった。
これらの写真はすべて、やなぎみわの創作でありフィクションである。
やなぎみわの考えた物語の1シーンが
写真として切り取られてそこにドーンと提示されている。
写真の右に文章が添えられている。
それを読んで写真を見ると、1枚1枚の写真の中に壮大な物語が見えてきたり、
そこに出ている老婆の人生があぶりだされたりしている。
しかも、良く見ているとそれらの老婆は特殊メイクを施された若い女性であったり、
また男性でもあったりする。
性も年齢も超えて老婆の写真を作り続けるやなぎみわの強い姿勢が
海外からも評価されているそうである。
彼女は今年6月からのヴェネツィア・ビエンナーレ日本館での
展示が決まっているそうである。
2階のカフェスペースの前で創作風景のDVDが流されていた。
現在のテクノロジーを駆使して作っているところがたくさんあるのだなと思った。
写真は1発撮りにこだわることなくパーツパーツなどを撮影し
フォトショップなどで合成しありえない世界を創作していることがよくわかった。
実際にカメラを他の人に任せる場合もある。
彼女は偉大なるアートディレクターでもあるなあと思った。
昨年、急逝した野田凪というアートディレクターのことを思い出した。
やなぎみわは、京都芸大を出てそのまま京都で活躍しているそうである。
京都に芸術家をとどまらせる理由が何かあるのだろう。
東京だけがすべての中心ではない。
やなぎみわのテキストを読んでいると、
その紡がれた言葉から大いなる物語を感じる。
偉大なアートディレクターは偉大なる小説家でもある。