東京コピーライターズストリートというラジオ番組がある。
毎週木曜日FM TOKYOで21時20分から放送されている。
この試みは、その番組をライブでやってみようというものの第二弾!
第1回目は南青山MANDARAにて行われた。
今回は会場がグレードアップしてセルリアンタワーの2階にある
ライブハウス「JZ Brat」にて。
受付で入場券のチェックを受け座席にまで案内される。
セレブになった気分で聴く、言葉の朗読。
コピーライティングと詩や文章との境がこれを聴いていると良くわからなくなる。
どこまでがコピーの朗読で、どこまでが詩の朗読で、
どこまでがドラマリーディングなのか?
そのような境目がなくなってきているという事実こそが現代を語っているのかも知れないと思った。
たくさんのコピーライターたちがこの試みに参加している。
会場は関係者で埋め尽くされており、静かな熱気のようなものに包まれていた。
言葉に関して、一家言ある人たちが言葉に向き合っている。
静かでリラックスした雰囲気ながら、そこの部分で真剣勝負な感じがする。
前回もいらしていたFさんやNさんにお会いする。
そして、FHさんの奥様とお嬢さんがいらしていた。
二人の顔が見えて、何だか嬉しくなる。
こうして、人のつながりが続いていくのだという事実が確認できることが、
ゆるやかに連携された交流が、会場の雰囲気を温かくする。
舞台は奥に大きなグランドピアノが置かれており、
その手前にマイクが三本置かれている。
ここで俳優が彼らの作った言葉を朗読する。
音性化された言葉が会場に響く。
Mさんのミキシングはシャープで切れがある。
強い印象を受けるところが、Mさんらしいなあと思った。
大川泰樹と坂東工、そして僕の好きな女優さん、西尾まりの三人が
マイクを通じて彼らの声で語りかけてくれる。
言葉は様々。時間も様々。
短編は3本ほどをまとめて朗読され、その間に長いものが朗読される。
印象的だったのが、特攻隊のことを語った?中山佐知子さんのもの。
高崎卓馬さんの「おばあちゃんへの手紙」は秀逸だった。
ああして、時間差で悲しみは訪れてくる、ということを実感。
山本高史さんの「人生相談」はアイロニーに満ちていた。
古田彰一さんの「声人(こえびと)=恋人?」は朗読を前提とした
音を意識したものとして印象的だった。
宗形英作さんの「年老いたキリン」ではある場所に所属しながらの
自由ということについて考えさせられた。
そして最後に朗読された一倉宏さんと音楽家、村上ゆきさんの協奏には驚いた。
今も、一倉さんの、「今からでもまにあうだろうか?」という最後の言葉は、
人生の後半戦に差し掛かっている僕には、こたえる言葉だった。
その不安感は決して埋まらないだろうという自覚とともに
これからも懸命に生きていこう、ということを再認識させてくれた。
村上さんの奏でるメロディは美しく、声は透明でのびやかで聴いていて気持ちがいい。
一倉さんがCM音楽と言葉との関係についての考察でもあると言って、
このような協奏の試みをおやりになったのは意義深いことである。
そして広告音楽について、もういちど原点に戻って考えていかないといけないと
課題を突き付けられた気がした。