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昨年ノーベル化学賞を受賞した下村脩博士は、
オワンクラゲから「緑色蛍光タンパク」(GFP)を採取した。
オワンクラゲ以外にも発光生物はたくさんいる。
一番身近なところではホタルや夜の海でキラキラと光る夜光虫。
実際に光っているのを見たことがないが
富山湾名物ホタルイカも発光生物である。
本書は発光生物のことについて、蛍光タンパクのことについて
初心者でもわかりやすいように書かれている。
発光生物は鳥類や哺乳類にはいないそうである。
脊椎動物で発光するのは魚類だけ。
これには何か意味があるのか?いまのところ良くわかっていない。
また発光には1次発光と2次発光があり、
自ら発光するものと何かを取り入れて発光するものがある。
そして発光しているもの自体はタンパク質、
そこにはたとえばルシフェリンという自ら発光するタンパクと
その働きを助ける酵素としてのルシフェラーゼなどがある。
これらは19世紀に発見されている。
今回のノーベル賞になった、緑色蛍光タンパクとは
エネルギーの移動で起こる現象らしい。
発光タンパクから生まれた青色の光のエネルギーは、
緑色蛍光タンパクに移動して緑色の光を放つ。
エネルギーの移動によって光るもので典型的なのが蛍光灯。
では、この蛍光タンパクがどのように応用されるのか?
実際に特定の細胞を光らせることができるようになってきている。
そしてその人為的に作られた細胞同士の移動などが
蛍光タンパクのおかげで追跡できるようになった。
細胞が通常とは違う動きをすることを見ることによって
たとえば癌細胞がどのように動いて転移していくのかなどという、
転移の仕組みなどがわかってくるだろう。
仕組みがわかるとたいていの場合、それに対処するための方法が見つかるようになる。
そのために多くの研究者たちは、毎日地道な努力を世界中で続けている。
その世界を想像すると、
まさに、大海に漕ぎ出す冒険者を見ているような気分になる。