松井美樹さんは、JINROとNISSANの人というイメージがあったが、
お話を聞くと、まさにそうだった。
しかも、たくさんの車種を一手に引き受け抱えられているということに驚くとともに、
すべてのメディアに対して様々な配慮をしながら作っていかなければならない
という膨大な仕事量を想像し唖然とする。
そんな、松井さんが、この広告業界の激変期に何をすべきか?
という課題について語ってくれた。
広告は低成長時代に突入した。
そのとき日本のクリエーターはどうやって生き残っていけばいいのか?
について語られる。
仕事は確実に減るので
クリエーターはそんなにいらない。
では、どうするか?
中国やインドへ目を向けるというのも一法。
それ以外では、お金を払いたくなるクリエーターになればいいと松井さんは語る。
納得。
そして、そこには三つの法則があると。
1、花魁を目指せ!
これはスタークリエーターを目指せという意味なのだが、
その割合の松井さんの仮説は全クリエーターの7%。
しかしながら、これは難しいというのが大多数。93%という計算になる。
それならば、
2、前線の英雄を目指せ!
前線とは陣地を拡大するということでもある。ということは何となく理解する。
そこで、深さと幅を拡大するのである。
深さとは経営ビジネスに関することも含めての深度。
そして広さとは様々なメディアや伝達方法ということ。
何がクリエイティブアイデアかの定義を変えることが重要であると。
その一つの例として、今年のカンヌサイバーのグランプリ
「the best job in the world」という事例を紹介していただいた。
従来の表現形式に捉われない形で、
世の中を動かしていくことこそが
今後クリエイティブが目指す一つの形であると松井さんは定義する。
TBWAのCCOロブ・シュワルツさんの言葉を借りると、
「Make news not Ads」
ということであると。
そのためには、様々なジャンルのプロたちが問題意識を持って
どのようなチームを組むかということが問われてくる。
問題を共有して一緒にBIG AIDEAを目指すチームを作ること。
これが、今後クリエイティブディレクターの大きな役割になっていくのではないか?
という信念に基づいて松井さんは具体例を基にわかりやすく語ってくれた。
多様性を受け入れて、最初はうまくいかないかもしれないが、
信じて突き進むこと。
その覚悟と継続するチカラがこれからはもっと重要になってくるのだなと感じた。
とともに、われわれプロダクションカンパニーは
特殊な才能のある人たちをいち早く発掘し、
例えばアーティストマネージメントをするように、
異ジャンルを交流させ新しいものを作っていけるような環境づくりをしなければならない。
そのような姿が一つの形になっていくのではないか?
20年以上前のことだが、
100人も入れば一杯になる小さな劇場に
「ひょうきん族」が放送されていた時期に
横澤彪プロデューサーは頻繁に観にいらしていた。
当時は80年代小劇場ブームだったからかもしれないが、
そうした日頃から新しいものを発掘していこうという眼力と
努力の継続がプロダクションカンパニーのプロデューサーにも
求められる時代が確実に来ているような気がしている。