劇作家であり演出家である塩田泰造が作・演出を行った。
塩田泰造は劇団「大人の麦茶」の作家であり、小劇場界で10年以上活躍している。
彼のキャラクターそのもののように、彼の描く世界はあたたかく
いい人ばかりが出てくる。
人は人を愛すという性善説に満ち満ちた戯曲が描かれる。
その世界観がこのゲキハロの世界にマッチするのだろう。
アップフロントエージェンシーの製作。
ゲキハロの「ハロ」は言わずと知れた「ハロープロジェクト」のこと。
アップフロント所属のアイドルたちが出演する
舞台のシリーズがこのゲキハロというネーミングとなっている。
今回の主役たちはタイトルにもあるBerryz工房の7人の女の子たち。
彼女たちは実際の高校生と中学生。
彼女たちは芝居をし唄を歌う。
彼女たちの熱狂的なファンが池袋サンシャイン劇場に詰めかける。
男性ばかりである。10代から60代くらいまでと幅広い。
彼らを引き付ける魅力はいったいどこにあるのだろう。
客席と舞台が一体になって、まるでBerryz工房のコンサート会場にいるような気分になる。
しかし、塩田泰造は彼女たちの舞台を単なる学芸会に終わらせない。
その意地がこの舞台のコンテンツを魅力あるものにする。
脇を固めるのが、塩田率いる「大人の麦茶」の俳優の面々。
合唱コンクールのお話。
先日、NHKのドキュメンタリーでアンジェラアキの「手紙」が課題曲の
NHK合唱コンクールへ向けて各学校が奮闘努力する様を追った
素晴らしい番組があったが今回はまさにそれをフィクション化したようなもの。
お嬢様学校の生徒たちと、あまり勉強の出来ない学校の生徒たち。
顧問の先生がおり、近所のおでん屋のおやじや、
生徒の兄やピアノの先生がそれにからんでいく。
決して彼女たちの演技は上手いとは言い難い。
しかし、塩田戯曲に乗って、彼女たちがたどたどしい言葉と動作を続けていくと、
そこにはある種心地よいリズムが流れだす。
だから、この舞台を見ていて決して退屈にはならないし、
むしろ真剣に見入ってしまった。
人間関係を描く言葉が真摯で誠実さに満ちている。
その気持ちが強く伝わってくるからだろう。
人が人をちゃんと信じることによって生まれてくる価値があることが
ちゃんと伝わってくる舞台になった。
彼女たちが歌う、「この素晴らしい愛をもう一度」「ダニーボーイ」(日本語版?)
そしてエンディングの「サンクユー ベリー ベリー」は純粋に音楽として楽しめ
感動することが出来た。
彼女たちのファンも、満足そうに
そしてきちんと統制を保ちつつ大人しく帰っていくのだった。
終演後、samanthaさんの家族と塩田さんとの初会食を開く!
宴は盛り上がった。@A-Rajにて。