南北線「白金駅」から坂を下るように旧都ホテルの方に進んでいくと
「西松電気」という看板のかかった年代を感じるビルが左手に見えてくる。
そこの駐車場スペースの奥に真っ白でシンプルな空間が拡がっている。
ここが「art onion」。
以前ここは家具屋さんだったとオーナーの川田さんに伺った。
ここで、京都在住のテキスタイルデザインなどを中心に活動している
アーティスト
谷川幸の個展が始まった。
彼女は映画「さくらん」の中で使用された花魁たちの数々の着物の柄をデザインし
実際に制作をした。
若い谷川はこうして多くの人の目に留まることになり、
ワコールなどが彼女の才能に目を付け企業コラボとして、
彼女に下着などのデザインなどもお願いしている。
広いこのギャラリースペースに彼女のテキスタイルが
まるでリトグラフや油絵のように展示されていた。
彼女のテキスタイル自身も実際に手にとって見ることができるようになっている。
もちろん実際の着物も展示されている。
独特の絵柄は現代的でもありクラシックでもある。
その絶妙なバランスをとっているのが谷川の魅力なんだろう。
伝統に対するリスペクトを抱えながらも現代的にアプローチするのは
簡単にできることではない。
以前、京都のギャラリーmiho projectで見た時と印象が違うのが面白かった。
京都西陣の町屋を改造したアートスペースと、
真っ白な現代アートの美術館のようなart onionのスペース。
陰影を基調にした京都のスペースと、
真っ白な光がさんさんと降り注ぐ白金のスペース。
その対比が同じテキスタイルを見ても全然違う印象になるのが面白いなあと思った。
そしてこのart onionのスペースで特徴的なのが奥にある大きなキッチン。
大きなステンレスのカウンターがあり。
この日のレセプションパーティでもたくさんの料理が供されていた。
キッチンが充実したこのようなスペースとアートスペースが混在した場所は
何と素敵なのでしょう!
おいしいものを食べながらおいしいものを飲み、
美しいものに囲まれている。
こういったスペースは人生を本当に豊かにしてくれる。
展示は24日まで。