熊本弁爆発の男の子劇団とでも言ったらいいのだろうか?
男子高校生のどうしようもない爆発的なパワーとあほらしさが同居した劇団。
それを30近くの俳優たちが真剣に演じているのが面白い。
ヤンクミの「ごくせん」や「ルーキー」などのつっぱり高校生が主役の物語。
高校2年だろうか?
海の近くの林間にテントを張って、
男子高校生8人とその妹1名が「修学旅行」と称してやってくる。
本日の予定を発表します。というところから舞台は始まる。
「3時から4時まで、遊び!」というところで思わず笑ってしまう。
身体はどうみても大人なのに精神的にはまだまだ幼児性が残っている。
中学生・高校生とはそういう世代だったなと思いだす。
彼らは、様々な理由があったのだろうが修学旅行に行けなかった。
その悔恨を晴らすために近くの林間で、
彼らだけの修学旅行をやろうということになった。
会話からだけだと彼らの人間関係を理解するのにとまどう。
誰がどのよううな生い立ちを持ってどのような関係でいるのか
というところが会話の端々から見えてくるのではあるが、その見え方が弱い。
もっと明快に見せることを考えると
面白い舞台になるに違いない。
田上は桜美林大学の出身。
劇団を旗揚げしたのは2006年のこと。
平田オリザの演劇作法が彼の作劇に影響を与えている。
台詞の端々から人間同士の関係性を見せようと頑張っている。
しかしながら、田上パルは作劇術の未熟さを
体当たりの身体と情熱でカバーしようとしている。
その真摯さがいい。
俳優たちは身体を極限まで使って演技をする。
高さ2メートル近い崖から飛び降りたり坂を転げ落ちたりする。
それが眼の前数メートルで行われている。
喧嘩にしてもそう。
激しい喧嘩が眼の前で行われている。
しかしながらその暴力表現は温かい。
熱い気持ちがどうしても言葉だけでは表現できずに思わず身体が動いてしまう。
この暴力は温かく見ることができる。
ポツドールのそれとは全く違う。
(以下、ネタバレ)
喧嘩の途中で、パンチパーマの男が泣きながら言う。
「うちのかあちゃんが・・・。」
このシーンに感動する。
男の姿がいい。
男泣きを見ているアラフィフのオジサンがそれに感動して男泣きが連鎖する。
書いていて格好悪いなあと思ったが、
劇場ではそんなことを言ってられる筈もなくその間も舞台では男の独白が進行している。
と、同時に荒唐無稽なシーンもたくさん出てきており、
はちゃめちゃな印象を残しつつの、元気で純粋な高校生たちの群像劇だった。
その純粋さに拍手!
彼らの語る、熊本弁が純粋さを確実に後押ししている。
11月1日まで。