弊社、M社長がススメテくれた映画!
いったいどんな映画なんだろう?と調べたらシリアスな内容に驚く。
可愛い猫や犬の写真とは裏腹に、ペットたちの直面する現実にぶちあたる。
監督は飯田基晴。
「あしがらさん」などのドキュメンタリー映画を撮っており、
その新聞記事を見たおばあさんが
彼にこの作品の製作を依頼した。
おばあさんとの面会からこの映画は始まる。
特に犬や猫には興味がなかった監督が
調べているうちに犬猫の現状を知るようになり、
映像自体がどんどん魅力的になっていく。
こうしてドキュメンタリーを見ていて思うのは、
ドキュメンタリーとは映像作家の思考の記録である。ということ。
と同時に撮影対象と作家との関係性の記録でもある。
ドキュメンタリーの仕立てによってその作家の個性が見えてくる。
たくさんの犬と猫が出てくる。
この2種類の動物は人間のペットの二大種。
一度は飼ったことのある人の方が多いんじゃないだろうか?
人間のエゴで簡単に犬猫が捨てられる。
彼らは生き場所がなくノラ化し、生きていくために、ごみ箱をあさる。
住民の通報などによって保健所の職員がノラ化した犬猫を捕獲しに来る。
そして彼らは、地方自治体の運営する動物愛護センターに収容される。
その姿が映し出される。
カメラは事実を淡々と記述する。
檻に入れられた何匹もの犬猫。
彼らは、何日間かここで保護され引き取り手が見つからないと殺処分される。
方法は炭酸ガスで酸欠にするという方法。
助かる犬猫はほんの一部である。
自治体によっては、猫はほとんどが殺処分されることとなる。
檻の中の犬たちは一か所にかたまって身体を寄せ合っている。
なぜなのか?
そして檻の隅には彼らの排泄した糞が映し出される。
千葉県をはじめ様々な動物愛護センターが出てくる。(東京など、撮影拒否のところもある。)
犬猫の生の最後の関門となる場所。
彼らはここで生死を決定されてしまう。
飯田監督のカメラは単なるヒューマニズムでこの映画を記述しない。
ここには人間が勝手に犬や猫を飼って、その状況が変化すると、
いとも簡単に捨て、処分するという現実がある。
動物愛護センターの職員が話していた。
夫婦の離婚や、ローンが払えなくなり住んでいる家が競売にかけられたりする。
そういう環境になったものがここに飼えなくなったと言って犬や猫を持ってくるのだ、と。
実際、人間に余裕がないとペットを飼うことは難しい。
その事実として、戦時中のことが語られる。
日本で戦時中、自ら飼っている犬を特攻犬としてお国に差し出しましょう!
というような政策が行われた。
犬は決して、特攻に行きたいなどと言わないだろう。
そして、犬の肉は食料に、犬の毛皮は航空服などに使用されると書いてあった。
飯田監督は、徳島の「崖っぷち犬」の引き取りの現場やら、
映画祭の受賞にかこつけて、英国の動物愛護施設を記録して回る。
様々な場所を比較することによって現在の日本の愛護団体や動物病院、
愛護施設の実態がより際立って見えてくる。
徳島の動物愛護センターに勤務している獣医さんの言葉が印象的だった。
ただ、かわいそうと言っているだけでは現実は何も変わらない。
殺処分している現実はこうして存在している。
わたしたちは、それに向き合い少しでも殺処分される
ペットの頭数を減らす努力をやらなければならない、と。
現実に向き合い、いかによいよい社会にしていくのか!
という根本的な問いが私たちにつきつけられる。