この本は、いま、読む本。
来年以降だと状況が変わってしまうかもしれない。
とても刺激的な論考だった。
著者の梅田望夫は1960年生まれ。
インターネットが進化して、現在どのような状況になっているか、
これからどのような状況になっていくといいのか、を熱く語っている。
それだけに、生半可では読めない。楽しんで読み流す、
というよりも、著者と対峙して書物を通じた対話をしなければならない。
エネルギーが必要だが、
読んでいるとそれ以上のエネルギーを与えてくれる。
梅田氏はシリコンバレーでの楽観主義的な考え方をベースに、
これを書いている。だから、元気になる。
現実に立ち向かおうとする若者たちや、
表現の機会が少ないものたちには、力強い励ましになる。
この本で語られていることを要約すると。
現在、膨大な量の情報がネット上に存在する。
それは日々更新され増加している。参加者も膨大である。
「グーグル」は検索エンジンを発端として、
ネット上の全ての情報を、ネット使用者の動向だけで、
セレクトしランキングする。
それが新しい価値を生むのではないかという話。
有名な大学教授が書いたものと、無名の主婦が、
家事の合間を縫って書いたウェブ上の原稿が
同質に語られ、評価される。
100人に一人は優れた書き手がいるから、
この現象はさらに顕著になる。
「グーグル」の検索エンジンがそのことを加速させる。
また、「グーグル」は情報を彼らのサーバー上に置く。
パソコンはアクセス出来れば何でも構わない。
「マイクロソフト」は情報をパソコン内に置くことが前提となっている。
「グーグル」は全ての情報をサーバーで一元管理することにより、
ウェブ上での個人個人の動向や嗜好などを把握しやすくなる。
もともとの発想が違う。
また、ロングテールという考え方にも言及する。
いままでは切り捨てられた少数の人が求めている情報は
実は以外に多いという話。
縦軸に「ある」情報が欲しい方の数。
横にはこの世に存在する「ある情報」の数。
それをXYのグラフにする。
と、たくさんの人が欲しがっている情報はそんなに多くはない。
しかし、全世界単位でみると数人だけが欲しがっている情報は
かなりたくさんあることがわかる。
その情報はネット上に必ず存在する。
これをシッポに例えているので、この数人の需要のシッポが
延々と続くことになる。これをロングテールと呼ぶ。
情報のロングテール。
数人だけの必要な情報が一億個あるとすると、
数億個分の価値がそこで創出される。
また、ブログの書き手が増えてきていて、
現時点で既得権益をもった書き手の存在が
脅かされて来るという話。
もちろん、これらのブログ群は「玉石混交」である。
その中から「玉」だけを見出し選択出来ることが、
ITの成熟によってもたらせつつあるというのだ。
メディアの権威側や表現者はこのことに強い危機感をもっている。
なぜなら、ブログの書き手の大多数は、
書くこと自体が楽しいと思っているだけだから。
利害のないことは強い!
最期に二箇所、興味深かった箇所を引用する。
1、同じ広告業界といっても、
「恐竜の首」部分で事業展開する電通と、
ロングテールを追求するグーグルでは、何から何まで違う。
「絶対に儲からないから、そんな小さな客やそんな小さな
メディアの相手をするな」と電通が考える対象こそが、
グーグルにとっての市場だ。
そんなロングテール市場が大きいことを仮に
電通が認識したって、リアル大組織のコスト構造の重みゆえ、
たとえ少々の売り上げが上がっても、
やればやるだけ損が積みあがるから絶対に追求できない。
2、「まず個人にとってのオープンソースとブログとは何か。
それはポートフォリオであり、面接であり、
己の能力と生き様がそのまま
プレゼンテーションの装置として機能する。
記事を書き続けることで人との繋がりも生まれていく。
転職活動をする場合、相手が読者ならば
自己へのコンセンサスがある状態からアドバンテージを得られる。
それだけのものを、金も人脈も後ろ盾のない人間が
手に入れる唯一の手段が、情報の開示だと思う。」

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