北京ダック専門店。文化大革命の余韻のこる中国。
1987年の12月。僕は初めて行った中国で、
初めて行った北京で、生まれて初めて北京ダックを食べた。
1989年に天安門事件が起こり、中国の開放が始まる。
そのお店がこの「全聚徳」北京本店だった。
本店は体育館のような店舗だった。
高級「全聚徳」と庶民的「全聚徳」がそのあって
建物が分かれていたように記憶している。
「地球の歩き方」で「皮」だけ食べると書いてあったので、
焼き鳥の「皮」のようなものを想像していったら、
これが違った。
クリーミーな脂がパリッと焼きあがった皮に付いていて
濃厚な味だったように記憶していた。
その後、日本で何度か「北京ダック」なるものを
食べる機会があったが、「全聚徳」の味の記憶に
及ぶものがなかった。
最近になって、東京に「全聚徳」があることを知り。
新宿に行く用事のついでに、行ってみようということになった。
やはり「全聚徳」の看板を掲げているだけあって、
いままで食べてきた日本の北京ダックとは全然違う
味と仕上げになっていた。
北京ダックの美味いところは、パリッとした皮と脂身
そしてその脂身にくっついている赤身である鴨肉のハーモニー。
そのバランスが崩れると駄目だ。
この「全聚徳」は北京ダック一羽を
スライスしてくれる専門の方がいる。
この切り方のバランスが絶妙!
まずは脂の濃い皮だけの部分が薄くスライスされて出てくる。
これには砂糖をかけてお召し上がりください。
食べてみると、おおこれは!「ドーナツ」ではないか!
しかも揚げたての「ドーナツ」を食べているようなのだ。
その後は、ダックの皮の部分を中心に満遍なく、
包丁でこそげとっていく。
脂身の多いもの、赤身の多いものと
いろんな種類のものが出される。
僕たちは自分の好みに応じて、北京ダックの皮に
味噌をつけ葱や野菜を巻いて、薄皮の餅のような「荷葉餅」で巻いて食べる。
この大きく切った大きさと脂の豊富さで満足感がむちゃむちゃ高い!
こんな北京ダック屋さん他に知りません。

コース5800円。ちなみに、銀座店もある