三谷幸喜の勢いはとどまるところを知らない。
舞台、ドラマ、エッセイ、そして映画。
三谷幸喜は監督三作目にして、
最高傑作のひとつになりえるだろう映画を残した。
人間の「旬」ていうものがあるんだなあと改めて思う。
それがどれだけ長く続くのかというのも才能のうちかも知れない。
また、三谷幸喜はオリジナルのものを
日本での喜劇にアダプテーションしていくことが非情に上手い
。映画「12人の怒れる男たち」に対する「12人の優しい日本人」、
TVドラマシリーズ「刑事コロンボ」に対する「警部補・古畑任三郎」
そして今回の映画「グランドホテル」に対する「有頂天ホテル」。
僕は「グランドホテル」は未見なので、
思わずDVDを購入してしまった。1500円!
しかしながら、三谷幸喜はそれを、オリジナル以上に
僕たちに面白おかしく提示してくれる。それは凄い才能である。
外国ものはまず、役者が横文字である。
だから、なかなか頭に入ってこない。
そして出演者も日本のテレビ番組でときどき見かける人が
出ている方が圧倒的に親しみやすいものになる。
しかも、三谷幸喜は徹底的に芝居が上手い人を
キャスティングしている。このこだわりは相当なものだ。
舞台を並行してやっている、三谷幸喜ならではの特質だろう。
そして、さらに変なキャラクターを考え出したり、
台詞回しが現代の日本っぽくて「笑える」というところに
非情にデリケートに注意が注がれ表現されている。
三谷幸喜は1961年7月8日生まれ。45歳。
人間の深みや円熟ということを描きながら、
しかもオカシミを同時に表現することの出来る稀有な作家である。
