赤堀雅秋、作・演出。佳品。
地元の商店街に住む男たちの話。
赤堀版「パッチギ」のような。
舞台は商店街の外れにある、パチンコ屋の2階の控え室。
ここには、いろいろな人が集まってくる。
パチンコ店は在日朝鮮人が経営しており、同胞たちが集う。
出演者同士の関係が上手に描かれている。
また、ここでの日本人に対しての振る舞いなども、
独特の緊張感があって、舞台の上から目が離せなくなる。
会話自体は、自然な感じがして飽きない。
パチンコ屋の妹(舞台には現れない。)と
アルバイトの面接に来た日本人の男の関係が
一本の強い骨格を作っている。
今回のTHE SHAMPOO HATはこれまで、
僕が見た中で最も良く出来ていたように思う。
成功の原因は、ベテランの役者、大堀こういち、原金太郎などが
出ていたことだろう。
いままでのTHE SHAMPOO HATにはない厚みが出た。
それは、戯曲を書く上でも年上の役者が出ると
描き方に厚みが出るということと、
役者自身の上手さに惹き込まれるから。
特に、大堀こういちには参った。
独特のおかしみと哀しみを同居させてきた人物、
清濁あわせもつこのキャラクターを本当にうまく演じていた。
内面に潜む狂気を感じさせつつ、何ていうことはない会話をし、
アイスキャンディーを食べ、笑っている。
それだけなのに、怖い。
この人は、何かあると大変なことをでかすのではないか?
というギリギリのバランスの下で演じることが出来た。
北野武にも似た。
また、この舞台を見ていると時々、
話がずれることで独特のオカシミが感じられる。
話は意外な展開になるのだが、それが、自然な会話と、
出演者のキャラがうまく描かれているので笑いながら
舞台と一体化している自分を感じる。
特に「きれいな足」のところでは爆笑した。
時々、ヘリコプターの爆音が挿入される。
2008年。
不安感をあおる。
舞台は一本の骨格にある結論を出し。唐突に終わる。