動物電気2年ぶりの公演。
いつものメンバー政岡泰志、小林健一、森戸宏明、辻修の他に
多くの客演を迎えにぎやかな舞台に仕上がった。
動物電気にしては珍しい家族の物語である。
富永家の娘が鈴木家に嫁(山口奈緒子・明日図鑑)に行った。
彼女と夫(松下幸史)は夫の実家の二世帯住宅で暮らしている。
そこに富永家の家族が訪ねて来たり、
夫のソフトボールサークルの友人たちが訪ねて来たりする。
そのやりとりの中でどうしようもないギャグの応酬が行われる
という趣向になっている。
それぞれのギャグが積み重ねられ、そのギャグに身を任せていると
あっという間に2時間近くが経過していた。
小林健一お父さんのアドリブ・インプロビゼーション・ギャグ大会の
時間もきちんと設けられており、動物電気らしいお約束が
ふんだんに盛り込まれていた。
山口奈緒子が魅力的である。ポジティブで前向きな夫婦を演じ、
その姿や笑い顔がとてもなごまし系。
公園を通過して、二世帯住宅の鈴木家に向かう、
池があり、お約束のように水の中に落ちたり、
オープニングでは金タライが落ちて来たりして
ドリフターズを毎週楽しみにしていた僕は、
その約束事を含めて好きだなあ!と思った。
主宰で作・演出の政岡は今回もサザエさんのような髪型のかつらを付けて
オバサンを演じている。
いつもの政岡さんのキャラクター、そして、この独特な語りとテンポ!
政岡さんが俳優に向かって舞台に立ちながら突っ込んでいる風景も動物電気らしい。
舞台の上では、俳優として演じている政岡さんと、
作・演出家として俳優を見ているときの政岡さんが共存している。
俳優を見ている時の政岡さんの眼光は鋭く、
その政岡泰志の二重性もまた動物電気の味である。
こういった独特のお約束事がある動物電気を本当に楽しむには
駅前劇場くらいの大きさの劇場が丁度いい。
ここで行われる、素の表情や演技やリアクションが、いちいち面白いから。
それを間近で見られるので、舞台の空気感とともに伝わってくる。
その空気の共有性を大切にしているのが
このコント集団ともお笑い劇団とも捉えられる集団の大きな特徴である。
辻修のカメレオン男の演技を久しぶりに見て、もはや
アラフォーに差しかかっている動物電気の面々は素晴らしい!
と賛辞を送りたくなった。
いつまでもこの集団のこのカラーを維持し続けて欲しいものだ!