この公演から1年半、倉持裕率いるPPPP(ペンギン・プル・ペイル・パイルズ)は
休止に入るらしい。といっても1年半なんてあっという間である。
東京サンシャインボーイズの33年間休止宣言とはわけが違う。
本多劇場と言う大きな舞台でのPPPP。
過去に吉祥寺シアターやシアタートラムで行われたことはあったが
ここまで大きな劇場は初めてではないか?
野波麻帆と高橋一生が出演しているから?
野波麻帆のことは今日の今日まで知らなかったが
東宝シンデレラコンテストで出て来た子のようである。
1980年生まれだから今年30歳。
舞台経験はあまりなく2004年に「鈍獣」に出ているくらい。
166センチの身長はそれいじょうに大きく見える、
筋肉が大きく大胆な印象。
顔がすほうれいこにそっくり。
すほうれいこは華奢で小柄だが、野波は大柄で大胆な感じがする。
売れっ子女優がある事件を起こして
マスコミから逃れるために山の中の別荘地に隔離され暮らしているという設定。
何の事故だか事件だかよくわからないが
交通事故で男性が死んでいるらしい。
その時、彼女はその男と交情に及んでいたという噂(事実)があり、
そのことが広まることを避けるために
このようにして人目を避けた暮らしをしている。
マネージャー役だろうか?或いは付き人の約だろうか近藤フクがいい。
真面目で健気な男を淡々と演じている。
その別荘地に、高橋一生も来ている。
彼は自称脚本家志望で、いわゆる夢だけ語っている
フリーターみたいな存在だと言えよう。
金のない高橋は友人である
ぼくもとさきこの別荘に居候して何をするでもなく過ごしている。
ここから、倉持さんらしい迷宮世界が展開するかと思いきや、
実際の生活を細かく描写していく。
すっとんきょうな展開や出演キャラが現れないのが
いままでのPPPPとは違う。
本作を見て、酒井法子の逃走劇を思い出す。
綺麗な売れっ子女優のスキャンダルにはマスコミは群がる。
それを避けるために極端な対応や行動をとることとなる。
東京から事務所のお偉いさんがやってくる。河原雅彦。
何も出来ないことを野波に告げる。
ある種の狂気が秘められた森の中の出来事である。
真夏の夜の夢以上に異常な出来事を隠すための住まい。
表層的な上流階級を描いたものとしての、
フィッツジェラルドの「ザ・グレート・ギャッツビー」のような。
芸能界の持っているセレブだが表層的である世界を
デフォルメして描いている。
ヤクザの兄貴分を演じていた玉置孝匡がまた、いい。26日まで!