2010年度(平成22年度)に開催された
文化庁メディア芸術祭の受賞作品展が
今年も六本木の新国立美術館で行われている。
これだけ面白いメディアート、マンガ、アニメーション、ゲーム、PVなどなどに
至るまで多彩な表現を一堂に集め
展示している催しはそんなにない。
しかも入場料無料で様々なイベントも
毎日のように開催されている。
経済産業省は近い将来数兆円のコンテンツ事業を
世界に輸出しようとしている。
国家が予算を投下してこのような試みをし、
才能のある人々を世に世界に飛び出すための準備をしている。
(但し、韓国と比べるとその費用は十分の一)
文化庁と経済産業省ががっぷりと組んで
新しいアーティストの応援をして欲しいと思う。
以前と違ってテクノロジーの進化により
若き才能のあるものの発表の場は確かに拡がっている。
自主的な取り組むも増えており、
プロボノ感覚で環境や貧困などの問題解決に
アートという視点で取り組む人たちも増えている。
映像に関しては、以前はこの芸術祭のノミネートに
テレビCMもいくつか入っていたが
今回はWEB用の長尺物などが主体となっている。
Tabioという靴下屋さんや、熊本の米焼酎「しろ」のプロモーションビデオなど
が広告関係では目立った、どちらも演出は児玉裕一。ものすごい才能だ。
広告ではないが、あとは「豆しば」のキャラクターコンテンツなども紹介されていた。
また、auのツイッター連動のパレードをするものも面白かった。
これはパレードをするヒトの顔の部分にツイッターの
アイコンが張られるという仕組み。
自分の顔写真をアイコンにしている人は
まさに自分がパレードをしているように見える。
また、メディアート部門では高精細のモニターを使った
高精細の動画なども展示されており、
高精細ということで確実に新たな表現の可能性を感じた。
と、同時にグーグルのストリートヴューの画像をつなげて
主観映像が世界中を旅するというロードムービーの展示なども。
解像度はそこそこでもそれを逆手にとって
とにかく素材を集めて加工することで新たなクリエーションが生まれてくる。
編集力ということが問われてくる。
クリエーターにとっては具体的な素材などの編集力が、
そしてプロデュースする側はキュレーションという意味の
編集力が問われる時代となった。
最近はブームのようにキュレーションという言葉が使われているが
要するに目利き力ということ。
目利きが発見したものをいかにして人に伝えて行くのがいいのか?
どのようなメディアを駆使してコミュニケーションしていくのがいいのか?
ということが問われてくる。
広告会社も出版社も新聞社や放送局まで
こうしたことが常に問われる時代となり
マスメディアの既得権益の垣根が低くなり、
新たな変化の予兆を感じさせる時代となった!
もっとも印象にのこったのが、
9ミリゲージの模型列車にLED電球を搭載したものが
線路の上を走るというもの。
まっくらな部屋で三方が真っ白な壁になっている。
ライトの奥にザルや洗濯バサミ、ボルトやナットなどの
身近なものを使いながらその影が風景のように見えると言うもの。
暗い中で目を凝らして見ていると、
ある種の異空間に彷徨いこんだような気分になる。
不思議な10分少々の体験が出来ます!
「10番目の感傷(点・線・面)」クワクボリョウタの作品。2月13日まで!