川本三郎と言えば、僕の学生時代、有名な映画評論の
何人かの一人として必ず挙げられる人だった。
川本三郎のちょっと甘い、センチメンタルな文章を読んで
劇場に通ったものである。
川本三郎の著書『マイ・バック・ページ-ある60年代の物語』を
原作にした映画が出来た。
メディアでこの映画のことがいくつも取り上げられ、
山下敦弘監督ということでさらに興味を持った。
時は1968年から1971年にかけての
全共闘70年安保闘争が華やかなりしころ。
学内で「立て看板」などがまだ現役だった頃に
大学に行っていた僕は、
何となく恐ろしそうなイメージがあるのだが、
少し気になる存在として学生運動というものが位置付けられていた。
川本は麻布高校から東大に入り、就職浪人をして
念願だった朝日新聞に記者として入社する。
その後、彼は週刊朝日の記者から
朝日ジャーナルの記者となり、そこで朝霞駐屯地で自衛官を殺害した
学生運動の活動家と出会う。
映画では川本の役を妻夫木聡が、学生運動の活動家を松山ケンイチが演じる。
川本の原作にもあったのだろうか?
映画を見るシーンが印象的に使われる。
「洲崎パラダイス赤信号」(川島雄三監督)、
「ファイブ・イージー・ピーセス」
「真夜中のカウボーイ」
「十九歳の地図」など。
妻夫木が、週刊朝日の表紙モデルをやっている
忽那汐里と一緒に「ファイブ・イージー・ピーセス」を見に行く。
彼女はその映画に感動し、どこが良かったかと妻夫木に聞かれ、
ジャックニコルソンが泣くところと答える。
「真夜中のカウボーイ」でもダウティンホフマンが
「I’m scared」と言って泣くシーンがある。
そして、彼女は男がこうして泣くことが素敵だと言う。
印象的な場面である。
これはエンディングのシーンとシンクロしていくことになる。
映画の冒頭は妻夫木が「週刊朝日」の記者として
潜行体験取材をしているシーンから始まる。
都内で500円だけでひと月生活する。というもの。
妻夫木は路上でウサギを売っている人の助手として
アルバイトをしている。
ヤクザに雇われた男を手伝っているのだ。
社会の底辺に生きている人を
東大卒の朝日新聞記者が取材する。
妻夫木は松山ケンイチと出会って、
知らないうちに人生の転機を迎えることになる。
何故、妻夫木が松山に魅かれたのか?
妻夫木の中のココロに空いた孤独感の穴ぼこに
松山のもつピースがカチッとはまったのだろうか?
松山の階級闘争の話を聞けば聞くほど、
そのこどもじみた考えと行動を見ていてイライラする。
こんなことで階級闘争を実行出来る筈がないだろうし、
そもそも彼は本当にそんなことをしたがっていたのか?
自己顕示の現れなんじゃないだろうか?とすら思うようになる。
少数の仲間が集まる、ある濃い人間関係の集団として描かれる。
その閉じられた集団が狂気を秘めていく。
対比的に描かれるのが、長塚圭史演じる東大の活動家である。
彼を支持する、朝日の記者の先輩がいい。
古館寛治が演じるそれは、あの時代を感じさせるリアリティがある。
松山のどうしようもなく表層的な活動ごっこみたいなものが滑稽に見えてくる。
それを山下監督は淡々と活写する。
これはある種のほろにがいセンチメンタルな青春映画でもある。
あの頃の時代だからこそ起きたこと。
「ノルウェイの森」で松山ケンイチが演じたノンポリ学生と対比して見ることが出来た。
どちらも青春していて、甘く、子供っぽくどこか懸命である。
その姿を描くことがあの時代とあの時代に生きる若者を描くことなのかも知れない。
そこにはほろ苦い甘さがあり、もやもやっとした奇妙な気分が残る。
自我の喪失か?
ラストで、あのウサギを一緒に売っていた男とばったりと出会う。
「とにかく、生きてて良かったよ!」
という言葉がドシーンと響いてくる。
htmx.process($el));"
hx-trigger="click"
hx-target="#hx-like-count-post-16065706"
hx-vals='{"url":"https:\/\/haruharuy.exblog.jp\/16065706\/","__csrf_value":"e8aede4b13ecdbcb0d811bc1e702fca9dbb7ef12429ec6d41f7c8b36b61cd772c78de41f173322c1cdea113d17fb99c0185c81a0448d55a60e63987a35f16f1a"}'
role="button"
class="xbg-like-btn-icon">