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今年もF/Tが始まった。 そのオープニングの作品を見に行った。 場所は、新木場駅から歩いて10分くらいのところにある 夢の島公園内の多目的コロシアム。野外公演である。 今年のF/Tは野外公演が多い。 毎年思うのだがいつもここの事務局は果敢にリスクを取り 新しいことに挑戦し続ける。 そのファイティングスピリッツは芸術の魂に通じるところがある。 新木場から人の波が続き夢の島公園へ。 ここには時々野球の練習をやりに来たなあと思いだす。 そしてこの場所が元々ゴミの埋め立て地だったのか? と改めて思い出した。 今では普通の木々の豊かな公園のように見える。 この下にはゴミが埋まっているのだろうか? 野外公演なのでF/Tのスタッフがものすごい数応援をしに来ている。 それはそれは、大変な作業だろうなと思う。 しかも、真っ暗な場所での作業。 落し物や亡くし物のリスクは確実に増える。 開場すると観客は2メートルくらいの長さの真っ白な旗が渡される。 その旗を持って観客たちは、公園内の多目的コロシアムに案内される。 すり鉢状になった1周400メートルのトラック競技場のような広い空間。 草が生えている。 観客たちは白い旗を持ちながらそのコロシアムを周回する。 後ろを振り向くと延々と白い旗を持った群衆がやってくる。 黒澤明の「影武者」のような壮大な光景が拡がる。 すり鉢状になったトラックの中と言えるような場所に 無数の白い椅子が整然と並べられている。 綺麗に整頓された椅子の一番前の下手側に一人の少年が座っている。 しばらく周回していると係の方がこのあたりで止まってくださいと言い、 観客たちはその白い旗を床に敷いてそれを椅子代わりにして 舞台となるすり鉢状の椅子が並べられているところに向き合う。 カステルッチの「わたくしという現象」の始まりである。 飴屋さんが子供のところにやってくる。 そして飴屋さんは少年に白いシーツを被せる。 まるでネズミ男のような感じ? ノイズとも思えるところから音楽が流れてくる。 と椅子が、倒れる。 自然に椅子が次次と倒れ始める。 最初何が起こっているのか?と思わせられる。 そして、その倒れた椅子たちが、移動し始める。 それも誰もいない空間で上手の方向に何百脚もある 真っ白な椅子が草原の上を流されていく。 これはまるで津波である。津波の光景が この椅子の移動から見えてくる。 整然と並べられている椅子には見ることのできなかった ガレキの山がそこに出来あがった。 音楽は讃美歌のようなグレゴリオ聖歌のような曲が流される。 厳かで荘厳な曲と、津波を連想させるビジュアル。 驚いた!コロシアムの奥から数十人もの 真っ白な衣装を着たエキストラの出演者たちがやってくる。 彼らはここを助けに来たのか?それとも避難してきた民なのか? 災害によって多くの難民が作られ、人類はその災害から 幾度となく復興再生を果たしてきた。 白い布にくるまれた少年も彼らに合流する。 荘厳で壮大な野外劇だった。(約30分) 20分の休憩が入る。 飴屋法水の「じ め ん」の準備である。 ガムランの楽器が運び込まれる。 大きなスピーカーが観客席を回るように設置される。 音が回る。サウンドデザインされた音がそこから聞こえてくる。 3・11の地震のあとの飴屋さんのツイッターにはココロが揺さぶられた。 この舞台は飴屋さんと夢の島、飴屋さんとカステルッチ、 飴屋さんと飴屋さん本人の思索の集積である。 飴屋さんが創作過程で出会ったものが この野外劇にコラージュされる。 その断片の積み重ねから観客は何かをつかみ取って行く。 それはアイデンティティというものかもしれない。 なぜ、この場所にわたしはいるのか? という単純だがすこぶる難しい問いに向き合った 飴屋さんの一つの回答である。 少年がスコップを持って夢の島の「じめん」を掘り出す。 そこには当然、土があり、土の下にはゴミがある。 夢の島の成り立ちを身体的に意識させられる。 その「じめん」を掘るという行為と「人類」ということが重なって語られる。 先日観た映画「ツリー・オブ・ライフ」にも似た思索でもある。 ここには重要な映画のモチーフが出てくる 「2001年宇宙の旅」と「猿の惑星」である。 どちらも、製作当時は近未来を扱ったものだった。 コロシアムの奥から子供たちがガムランの楽器を鳴らしながらやってくる まるで鎮魂の使者のように。 そして大きなモノリスがコロシアムの真ん中に設置される。 モノリスは神なのか?昨年の飴屋さんのF/Tの展示にも似た考察。 死への考察がカステルッチとの対話から描かれる。 イタリア人は死者を葬ると死者には触れないそうである。 死者を弔うのはカプセルホテルみたいな倉庫状のところに入れて 20年間は封印するらしい。これがイタリア流であると聞く。 一方日本人は火葬した骨をいつまでも骨壷に入れて保管する。 その骨壷とはいつでも対面できるようになっている。 死者とともにあるのが日本の思想なのかもしれない。 また、日本の原爆の話も語られる。 放射線を発見したキュリーさんの口から。 そして彼女の手にはファットボーイをかたどったオブジェが現れる。 原爆で被爆し今度は福島が被曝した。 人間の未来はどのようになっていくのか? 飴屋さんは宮澤賢治の童話に出てくる グスコーブドリのようにモノリスに立ち向かっていく。 神に向かって向き合うことによって新たな展開が起きるのか? 子供たちはそこから再生していけるのか? そんな、様々なことを考えさせられる野外劇となった。 1000人の観客を含めてこの野外劇が成立した。 ものすごい勢いで流れる雲。そして雲の切れ目に見える星たち。 ときどき通過する飛行機。 それらが一体となってこの世界を形成した。 F/Tのオープニングにふさわしいイベントとなった。
by haruharuyama
| 2011-09-20 08:29
| 舞台
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