野田凪が急逝して3年が経つ。
ちょうどリーマンショックの直前に彼女は亡くなったことになる。
34歳だった。
彼女の回顧展がリクルート本社ビルの1階で行われている。
彼女の作品で一番有名なのはハンパンダと呼ばれている
半分がパンダでもう半分が他の動物のキャラクターである。
可愛いものを可愛いだけにはしない、
どこか毒があって怖い、そんな作品をたくさん作っていた。
女子美を出て何社かを渡り歩いた末、サン・アドで
いくつかの面白い仕事をし話題になった。
今回の回顧展でサン・アドの安藤隆が文章を寄せている。
「アーチスト気質の野田凪が、会社の仕事として
広告をやることになったとき、広告ができるかなあと、
わたしを含め、まわりの人間は疑った。」
そういう彼女は、結果、素晴らしい広告作品を生み出していった。
まさにアートと広告の融合である。
そうした彼女の才能を開かせたと言う意味でも
サン・アドは懐の深い会社だったと思う。
野田凪はその後、独立して「宇宙カントリー」という会社を作る。
実質のフリーランス宣言である。
それから数年間、彼女の才能は爆発した。
ラフォーレのキャンペーンやナイキウーマンのキャンペーン、
サントリーの広告、そしてジュディマリのYUKIちゃんの仕事などなど、
一度みたら忘れられないような印象に残る仕事がいっぱいある。
僕がいたプロダクションでも「月桂冠」のCMを作ってもらったが、
そのCMを見て、独創性に度肝を抜かれた!
彼女はカンヌで広告賞を獲り、パルチザン(partizan)という
海外クリエイターのREPをする会社に所属する。
パルチザンはミッシェル・ゴンドリーなどが所属している会社である。
その野田凪の仕事がここで一気に見ることが出来る。
「お仕事」だけで片付けられない何かがそこにはある。
どこか命を削るようにして生み出しているものがある。
そのことを感じるだけでもこの展覧会に行く意味がある。
今の広告はどうなんだ?
と強く彼女から問いかけられているように感じた。