電通のコミュニケーションデザインセンターというのがある。
CDCと呼ばれ、クリエイティブに特化した人が
ナンバー局の垣根を超えて活躍出来るように設立された部署だと聞いた。
そこにいる人はスタークリエイターが多い。
大きなキャンペーンをする人やクリエイティブの職人さん的な方もいる。
その人材の多様性は電通ならでは。
本当にあの会社はいろんな人がいる。
目的に応じてそうした人々が登場する。
高崎さんは、以前2CDというナンバー局にいらして
その後CDCに移動となった。
高崎さんのクリエイティブの師匠は古川裕也さんである。
とあとがきに書かれてあった。
その出会いが現在の高崎卓馬を作ったと。
とはいえ、みんながみんな高崎さんと古川さんのような、
師との出会いがあるとは限らない。
だから高崎さんは本書を読むことで、
この出会いを古川裕也との出会いみたいにしたいとの思いから執筆された。
とあとがきに書いていた。
本書の副題にはこうある「グッとくる映像にはルールがある」
高崎さんは本書の中で、もっとも原理的な
表現物を人に見てもらう意義は何か?
というところから説き起こしている。
その目的を効果的に行うにはどうすればいいのか?
ということが具体的な事例を交えてわかりやすく描かれている。
企画を始めたばかりの人たちにとって
本書はそういう意味でもとても役に立つ書となるだろう。
高崎さんの仕事は単なる広告表現を考えるというだけにとどまらない。
仕組みを作ったり座組みを考えたり、PRや現場での俳優たちへの演技を
どのように引き出すか?などということまで。その範囲は広い。
しかし、今はこういったことまでも含めて
カバーしていくということが広告に携わるものたちに
課せられているのではないか?という時代になってきている。
さらに、高崎さんは映画「ホノカアボーイ」などの脚本も手がけた。
映画のキャンペーンやタイアップも含めての作業を
表現の最前線からはじまり、大きな視点の仕組み作りまでをも行っている。
高崎さんは、そういう経験を踏まえて、
長いシナリオやプロットの書き方まで本書で解き明かしてくれる。
もちろん、企業のボディコピーもきちんと書いていて
その15段広告などもとてもいい。
そうしたマルチなことをこれからの広告クリエイターは求められており、
そのために学ぶことはいっぱいあるなということを
知るだけでも本書を読む意味はある。
別役実の「コント教室」(@白水社)が本書の中でも
紹介されていたのがとても嬉しかった。
あの名著は広告クリエイター必読。
読むといいよ、と最初に教えてくれたのが
CMディレクターの山内健司さんだった。
彼の舞台が現在、下北沢「楽園」で上演されている。
CMディレクターだけに留まらない表現を行っている
山内さんは、高崎さんとどこか通じるところがあるのかな?
人の気持ちが動くものを発信し続けていくことに、
広告クリエイターの仕事の真骨頂はあるのだ!という根本的なことを
本書は教えてくれる。