心の問題について、その奥底まで踏み込んで描きながら、
その表現をぶっとんだエンターテイメントに出来る劇団は少ない。
その数少ないことの出来るのが、
青木秀樹が率いるクロムモリブデンである。
今回はその持ち味が、とてもうまく出ており、
深いことを奇妙なエンターテイメント作品に完成させることが出来た。
とても困難で難しいことに挑戦している。
その高い志に感心する。
青木は内面のさらに奥のことを
ある種のスラップスティックのように描く。
観客はその突拍子もない表現に笑い、舞台に見入る。
そんなお芝居だった。
引きこもりの男の子に対する心理療法として、
医者は男の子に何か文章を書くことを勧められる。
高校生くらいだろう男の子(奥田ワレタ)は、
懸命に自分の内面を紡ごうとする。
彼の中ではそれが小説というカタチで現れる。
どこまでが現実でどこまでが空想の世界化がわからなくなる。
男の子はその中で「ムラカミハルキ」という作家に出会う。
久保貫太郎演じる「ムラカミ先生」は物凄い!
ぶっとんだ演技が観客を釘づけにする。
シュールで不条理な言葉がポンポンと出てくる。
発話の内容とリズム感がいいので
内容がめちゃくちゃでも惹きこまれる!
男の子は「ムラカミハルキ」に小説の書き方を教わろうとする。
もう一人、少女が登場する。うさぎの耳をつけた女の子。
彼女も空想をしながら頭の中で物語を紡いでいる。
彼女の頭の中には、シュールな警察官と刑事二人が登場する。
手塚けだま(刑事長?)、と森下亮・幸田尚子(警官)、
アンドロイドのような彼らのデフォルメされたキャラがいい。
喋り方が独特で「心がない」というようなことの
暗喩のようにも見えてくる。
見ていて途中で、あ、これは一連の「オウム真理教」の
逃亡犯たちの顛末がモチーフになっているのだな!
ということが伝わってきた。
平田信容疑者が今年のお正月に自首して来たが、
他の署に行ってくださいと警察に言われたなどという
エピソードが次々と出てくる。
その後菊池直子が捕まり、最後に高橋克也が逮捕された。
世間の目が彼らの行動を見はることになり、その試みが成功した。
その印象をまったく新たな物語に青木は紡ぎかえた。
「ムラカミハルキ」の起用もその延長線上にあるような気する。
実際の村上春樹は「アンダーグラウンド」というるポルタージュで
多くのオウム事件の関係者に取材した。
そして、この舞台の表現自体も
村上春樹の小説世界のような印象を強く感じた。
「1Q84」や「海辺のカフカ」
「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」など
異次元の世界と現実世界が交錯する。
小説世界ではそれはありだが、それが現実世界になるとややこしくなる。
その最たる例が「オウム真理教」という
集団の行って来たこととダブってくる。
世間は彼らを即時、断罪し!「なかったこと」にしようと思っている。
しかし、その性急さにまつわる危険性についての
議論がなされなくていいのか?
これはオウムのドキュメンタリーを作った、森達也の言葉である。
そうした、様々なあの事件にまつわることが
整理されないまま不条理なエンターテイメントとして
呈示されるのが本作品。
何回も見るといろいろなものが見えてくる、そんな舞台じゃないだろうか?
クロムは音楽の使い方がいつも素晴らしい。
ふんだんに贅沢に音楽を使い
それがサウンドデザインされたアートになっている。
最後の方で、大音量の下で
被り物で踊るシーンは圧巻。
14日まで!
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