トイレ休憩をはさんで後半が始まりました。
パネルディスカッションの登壇者は、
市耒健太郎(博報堂)、内田哲也(博報堂DYメディアパートナーズ)
八木義博(電通関西・東京ルーム)
モデレーターはマッキャンエリクソンの溝口俊哉さんでした。
このパートのカテゴリーは「Outdoor Lions」(1992年創設)
「Media Lions」(1999年創設)「Design Lions」(2008年創設)
まずは「Outdoor」から。
といってもこのジャンル、表現も多種多彩でポスターやビルボードだけでなく
インスタレーションやプロジェクションマッピング、フラッシュモブ、
などなどのすべての屋外で催されるものに関して扱われるもので、
エントリーも4843作品に登りました。
ちなみにFilm部門は3600作品。
このパートで印象的だった言葉が、カンヌで評価されるものは
「人類の課題をキモチに転換するということ。」
ができているもの。
このレベルにいかなければカンヌで賞を取れないということです。
ここでグランプリを獲得したのがメルセデスベンツの
ゼロエミッションの車を扱ったキャンペーン。
ゼロエミッションということは何もない、
ゼロということは目に見えないことでもあるということから
メルセデスは「
invisible car」というものを開発しました。
一方のサイドにLEDのパネルをボディに貼り付け、
逆サイドにはカメラを設置し、一方のサイドに映っているものが
逆サイドのLEDに映し出される仕組みです。
そうすると、車は消えて見えなくなるという。
そしてメルセデスはそれをカタチにし実際の道路を走らせました。
「Media」では、審査員はみなメディアエージェンシーの
経営者クラスがほとんどで、そこには明らかに
メディアパーソンという存在がいるということを内田さんは強調されていました。
メディアパーソンはお金のにおいに敏感だと、
ということはビジネスチャンスをいつも狙っているという意味でもあります。
企業家や経営者の視点を持った人がメディアのキャンペーンを
どのように評価するのか?ということが語られました。
あるスポーツ新聞のキャンペーンで
そこの紙面にサッカーに関する記事がすべてなくなったら
というものがありました。新聞はその状態で発行され、
白い箇所がいくつも紙面の中にあるというもの。
紙面が記事で埋まっていることが
いかに大変なことであるのかを逆照射したような
ものでした。
メディアパーソンはこうしたものにグググッと来るらしいです。
渡辺恒雄さんやルパートマードックさんなんかも
このグループに含まれるのでしょうか?
グランプリは
ロンドンで行われた「グーグル」の音声検索キャンペーン。
ロンドンにある、ありとあらゆる購入可能なポスターや
ビルボードをジャックしてその場所に最もふさわしい
検索ワードを発音そのままのアルファベットで記入するというものでした。
「Design」は八木さんが解説。
八木さんは、実際に今年のカンヌでも受賞されており、
受賞回数がむちゃくちゃ多いクリエイターの一人です。
今年も「行くぜ、東北!」のキャンペーンなどで
受賞されていました。
目の前の仕事に真剣に取り組んでやりきった後は、
いかに初めて見る方に分かりやすく
広告のキャンペーンを再構成して見せていくのか?
その作り方で受賞の機会が大きく変わってくるのではないか?
とおっしゃるのを聞き、大きく納得しました。
異文化の人たちが一堂に集まりコミュニケーションをしていく際に
必要なものは何か?を教えられたような気がしました。
グランプリ作品は
オーストラリアの環境に関する
年次報告書(アニュアルレポート)が受賞しました。
特殊な印刷がされており、銀のホイルで包まれた袋から取り出した
報告書を太陽光に当てると真っ白だった本から
文字やビジュアルが浮かんでくるというものでした。
そんな印刷技術があることに驚き、
テクノロジーはクリエイティブを進化させるものでもある、
とも納得しました。