作・演出、山内ケンジ。
この、城山羊の会、コンスタントに公演を続けている。
今では、年に2回、確実に公演が見られるようになった。
今回は、濃密な空間である「こまばアゴ劇場」での2週間の上演。
上演時間90分。
見終わって、最初、単なる、お茶の間劇かと思っていたのが
ラストの20分、とんでもないことになる!
ネタバレになるので、これ以上はかけないが
ここには、本当の家族って何?夫婦って?親子って何?そして男女って何?
というような既存の世間の価値感をひっくりかえすようなチカラがある。
その衝撃を体験できるという意味だけでも
この舞台を見る値打ちはある。
その価値感をひっくり返そうとするチカラこそが
演劇のチカラであり、芸術の持つチカラなのではないだろうか?
いったんそれを体験すると
観客(鑑賞者)はまたその体験をしたくなる。
芸術に触れるというのはそういうことなのかもしれない。
多様な価値観があるということを
芸術のチカラで認識し、見た後にその多様なことが
自分自身を豊かにする。
こういう見かたや考え方があるのか!?
と驚きそうして、認められるものが拡がっていくのだ!
ネタバレになるので詳細を書けないので、
とても抽象的な話になってしまっているが、物語自体はシンプルで楽しい。
いつもの、山内ケンジの丹精な台詞と、
ナンセンスで不条理な笑いが詰まっている。
今回はキャストに新たに、お父さん役の古屋隆太を迎えた。
また、オーディションで出会った、二十歳の岸井ゆきのという女の子が
城山羊の会初登場。岸井の目チカラがいい。
石橋けいとその娘、岸井ゆきの、そこに
家庭教師(木村荘平)が教えに来ている。
家庭教師の名前は「高崎馬くん」。
電通に、高崎卓馬というクリエーティブディレクターがいるが、
彼からの引用なんだろうか?
この 「たかさきうま」 という音がとても印象に残る。
家庭教師が終わって、先生と奥さん(石橋けい)が
娘にそそのかされて「ハグ」のまねごとをしている。
ちょうどハグしようとしていた、
そのときに夫の古屋隆太が帰ってくる。
石橋けいは今回、倦怠した感じの色っぱさが全身に溢れ出ている。
そして、静かなお色気がこの舞台の通奏低音として流れている。
それは、ことある毎に現れ、見ている方はドキドキする。
岸井ゆきのが家庭教師の先生を挑発するシーンなんかもいい。
そこに、弁護士の先生が二人訪ねてくる。
隣に住む弁護士夫婦(岡部たかし・永井若葉)
そこから新たな展開が始まる。
この二人の弁護士が添島さん(猪野学)を連れてくる。そして…。
これ以上はこまばアゴラでお楽しみを!
本日はチケットがあるらしい。
もう1回行ってみようかなあ?と思わせる舞台である。
岸井ゆきのの目チカラを見に。
そして、古屋隆太の身体を張った演技を見に!
12月11日まで。詳細は
ココから。