舞台は6畳くらいの小さな居間。
ある地方都市だろうか?女4人だけの出演者。上演時間60分。
いろんなことを考えさせられる舞台だった。
特に母子(おやこ)関係について。
母親(兵頭公美)と長女(浅野千鶴)次女と次女の学校の先輩でもある女。
先輩の女が次女の家に金を返してくれとやってくる。
次女はそれを返すあてがなく途方にくれる。
独特な上下関係が彼女たちの中にあり、
次女は先輩に強く言うことが出来ず流されていく。
じゃあ、働いて返せということになり
キャバクラかヘルスのアルバイトを紹介してもらうことになる。
結局、最後には先輩も働いているというヘルスへ
面接を受けにいくことになる。
そこに登場する母親。母親と次女の会話。
母親は次女を信用していない。
そのことが次女に伝わり次女はキレる。
家庭内暴力である。
そこに長女が登場する。
長女は母と次女の間を取りなし、いい子を演じる。
母親は長女に精神的に頼っている。
長女はそれを受け入れいい子を演じ続けているのだが…。
面接に行くために
次女が化粧を終わらしたくらいのタイミングで先輩が戻ってくる。
そして先輩と長女が出会い、その関係に変化が起きる。
ここの部分は大きなネタバレになるので言わない。
しかし、その関係性の微妙な変化も結局はもとに戻る。
これって現在のわたしたちの人間関係を
とても象徴的にあらわしているんじゃないか?と思った。
依存関係が続く母と長女。
次女のことをココロの底から愛せない感じの母親。
愛するのと依存しあうのは違う。
仲良しグループは、居心地がいいのだが、
そのグループが一生付き合って行ける仲間か?
みたいなことが暗喩として呈示される。
物事にきちんと向き合わないで
楽な状況だけを見て生きて行く。
現在はそれで簡単に生きていける時代になった。
田川はそのようなことを何も言わないまま劇を終わらせる。
潔く勇気ある決断である。
その後に残された観客たちはその田川のたくらみにはめられ、
こうした依存的人間関係などのことを延々と考え続けさせられることになる。
これが出来た時点でこの舞台は大きな成功である。
次回作も楽しみ。