2011年9月三鷹市芸術文化ホールで上演された、
あの「謎の球体X」がこまばアゴラで再演された。
三鷹で見たときにもとても印象的だった舞台を、
さらに濃密な空間であるこまばアゴラで上演されるとどのように感じるのだろうか?
間近で見るその舞台はさらに奇妙で怖いものとなっていた。
しかも、そこはかとなくおかしみをたたえた舞台。
見ていてあまりの変さにクスクスと笑ってしまう。
ある夫婦の借家が舞台である。
大家さんは隣に住んでおり、そこの離れを借りているんだろうか?
妻の川隅奈保子が登場するといきなりクスクス笑いが起きる。
彼女はいったいどうしたんだ?
その謎が語られないまま舞台は進行していく。
この「謎」がこの舞台にはたくさんある。
そしてその「謎」を発見して「なぜなのか?」と考え始めてしまうと、
とてつもない奇妙さのループの中に入っていってしまうのである。
夫の古屋隆太はなぜか「キチガイ」と呼ばれている。
それはなぜなのか?語られない。
そして古屋の眉毛!
作・演出は田川啓介。
この人はいったいどのような頭の中身を持った人なんだろう?
それも「謎」。
そして、この街にはしょっちゅう台風が来る。
都心からここまで5時間くらいかかるのは、
兵藤公美のセリフからわかった。いったいここはどこなのか?
兵藤は川隅と小学校の同級生。突然川隅の家に訪ねてくる。
川隅は「NO」ということをなかなか言えない女であり、
眉毛に特徴のあるキチガイと呼ばれる男=古屋隆太と住んでいる。
高圧的な態度の古屋のことを
川隅のこれまた同級生である大家さん=村井まどかは快く思っていない。
そこに村井の夫が入院先から戻ってきて自宅療養をはじめ、
さらには台風で家を流され、同居していた実の父親を失った川隅の妹=富田真喜が
この家に戻ってくる。
この舞台の最大の怖さは「人の気持ち」である。
突然、人の気持ちが変わり人間関係までもが変わっていく。
実際の暮らしの中でもあるあることが
ここでは超デフォルメして描かれるので
それが奇妙な笑いになっていったり奇妙な恐ろしさにつながったりすることになる。
その心変わりの様子を田川は丹念に掬い取り舞台上で提示する。
俳優たちは決しておおげさな演技をしない。
自然体で淡々とした演技をすることによってさらに怖さが倍増する。
こうした濃密な体験が2時間近く続き、まったく退屈しない時間を過ごすことができる。
貴重で奇妙で恐ろしい舞台。8月19日まで。

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