この映画祭も今年で25年目13回目の開催となる。
1989年から2年に1回づつ開催され、こうやって続いている。
ここを運営している事務局はさきほど特定NPOに認定されたそうである。
ちゃんと続けて活動し続けてきたことの評価だろう。
まずはおめでとうございます。
僕がこの映画祭に来るようになったのは2003年のこと。
この年の6月にカンヌ国際広告祭に行っており、
国際映画祭的なイベントにとても興味をもっていたのが行くきっかけになった理由の一つ。
もう一つの理由はドキュメンタリーというものにとても興味をもっていたからという単純なもの。
行って観て驚いた。
そのドキュメンタリー作品の表現の多様さ、題材の多様さに!
「NHKスペシャル」みたいなものがドキュメンタリーだと思っていた僕は、
その価値観がひっくりかえるくらいの多様な表現に驚き、
時間をかけて丁寧に作っている、職業を超えた執念みたいなものが
フィルムを通じて感じられた。
この年のグランプリは「鉄西区」という中国の王兵(ウォン・ビン)
という才気あふれる監督の3部作、9時間にもわたる作品だった。
ミニDVのデジタルビデオカメラで撮影されているにもかかわらず、
切り取られた映像の美しさに驚いた。
王兵はいまや中国を代表する映像作家となり劇映画の監督もされている。
まだ若き王兵が上映の会場に来ていたのが印象に残っている。
坊主頭の修行僧のような青年だった。
この映画祭の、さらにもうひとつの特徴は実際の制作者たちが現地に来て語り、交流するというもの。
観客と制作者が一緒になって考えるというのが、
とても演劇に近いなあと思った。
そして、この映画祭のもっとも大きな特徴が山形市民のヴォランティアの方々が
たくさん参加されて運営が行われているということ。
いまでこそ、ヴォランティアという概念が浸透しつつあるが、
それを25年前から続けて、こうして多くの市民や学生たちの参加によって
成り立っていることに感心する。いや感謝と言った方がいいのか?
山形の持っている文化度の高さを感じる。
そうして、今年もその山形国際ドキュメンタリーフィルムフェスティバルが始まった。
19時16分東京駅発の新幹線で山形へ向かう。
(写真はサンドイッチとハイボールとツマミ)