今年のF/T13(フェスティバルトーキョー2013
=東京で行われる舞台芸術の秋のフェスティバル。
2009年からこうした名称で毎年行われている。今年で5年目)が始まった。
その拠点となる池袋西口公園には、
本公演のモニュメントとも言える巨大な竹組の建物?オブジェ?が造られた。
インドネシアから何本もの竹を運び込み組み上げた大きな竹の船のようなもの。
木とロープと竹からなるそのオブジェは
コンクリートとガラスとプラスチックが主体でできている池袋周辺の建物と明らかに違う。
寒波が来て冬らしくなり、寒くなった夜、西口公園に向かった。
本公演の演出家のナンダン・アラデアさんは、
公演の直前の先月2013年10月に脳動脈瘤破裂で急逝された。
42歳だった。
その記事をどこかで読んで、公演メンバーは彼の意思を引き継ぎ、
本公演を決行することに決めたそうである。
インドネシアの俳優たちが上半身裸で腰蓑だけをつけ
竹で作られたオブジェをまるでジャングルジムのように縦横無尽に動き回る。
上から吊り下げられた竹は登り棒のような役割を果たし
真ん中に小型の丸太船のようなものがロープで吊るされておりブランコのようになっている。
俳優たちは航海の旅に出ているのか?大きな海原を走り、
地上では大きな銅鑼(どら)を前にした男が祈りを捧げる。
インドネシアの人たちの伝統的なものに根付いたこのような表現が
池袋の西口で見られるとは思ってもみなかった。
オープンステージなので西口公園にたむろする人たちも
このパフォーマンスを見学し拍手を送っていた。
こうした開かれた試みこそF/Tらしい。
そして壮大な航海の旅は続く。
ステージ後半で俳優たちがあるものを観客に配って回る。
その五感で感じた体験が記憶の中に深く残っている。
あのお香のようなものは、いったい何だったんだろう?
インドネシアの人には日常的なものなのか?
寒いのでカイロをスタッフが入場時渡してくれる。
いつもながらF/Tのボランティアスタッフが生き生きと働いており
頭が下がる思いである。
さあ、これから一か月F/Tのいくつもの公演が楽しみだ。
2020年の東京オリンピックも決まり、それまでF/Tは続けられるのかな?
これからの毎年の年中行事になればいいと個人的には思うのですが。