岡田利規、作:演出。今年の頭だったかに
この舞台の公開ワークショップが行われていたらしい。
それからしばらく経っての満を持しての公演。
KAATのチケットセンターに電話したら全公演チケット完売!と聞く!
どれだけすごいねん!と驚き、
ペシミスティックなチケットセンターの方に、
当日券は若干枚出ますがご覧いただけない場合もあります、と哀しく言われ、
しょうがないので仕事の午後半休をとって元町・中華街へ!
当日券は公演の1時間前から発売となるので
そのさらに30分前に劇場ロビーで並ぶ。
ここは屋内なので寒風の中をじーっと我慢するみたいな状態は避けられる。
行くともう10人近くの若者たちが並んでいた。
チェルフィッチュはおしゃれな若者の観客が多い。
これはマームとジプシーなどのダンスと演劇の中間に位置する
カンパニーに共通する現象。
さらに言うとダンスカンパニーの公演を見に来る人たちは
圧倒的におしゃれな人が多いように思う。
そういえば今度、ファッションとダンスの融合した
パフォーマンス公演があると聞いた。
海外のマーク・カニングハムのダンスカンパニーが
コム・デ・ギャルソンに衣装を提供してもらった公演があったのは有名。
もっと、過去に遡ると1916年ジャン・コクトーが脚本を手がけ
パブロ・ピカソが舞台美術と衣装に関わり、さらにエリック・サティが音楽を担当した
舞台「パラード」も伝説的な公演として記録されている。
岡田利規はチェルフィッチュの度重なる海外公演などで
感じたことを本公演に取り入れ
まったく新たな世界を構築しようとしている。
演劇のグローバル化は果たして可能か?
という考察のプロセスが映し出される。
そう遠くない未来。場所は日本なのだろうか?
国籍も国境も超えた抽象的な世界がそこに拡がる。
舞台真ん中に白い十字架みたいな壁がある。
なんだろう?と思っていたらそこに文字が映写される。
スクリーンの役割をはたしている。
全六場。
かっこいいオープニング。
そう遠くない未来をいつもの若者言葉で
俳優たちはフランクに喋る。
独特の身体の動きが反復されるのはチェルフィッチュのいつものパターン。
スクリーンには俳優の発する日本語に合わせて同時通訳的に字幕が映し出される。
英語と中国語。
未来の話なので日本人は減少しており日本語を扱う人も減っている。
インド人や中国人が増えて必然的に英語と中国語が数の論理で
圧倒していくだろう。
そして、そのことを岡田はある種のシニカルさをもって描き出し
それが笑いになる。
俳優たちは音声のワイヤレスマイクを各自装着しており、
マイクを通してセリフが聞こえてくる。
そこにサンガツの音楽が重なる。
サンガツはライブで演奏しているようなのだが?演奏の姿は見えない。
大きな音楽とマイクを通じたセリフの音量のバランスがいい。
山縣太一が身体を極限まで駆使しているのだが
抑制された動きで観客はそれに気づくのに時間がかかる。
女優の青柳いずみが魅力的。
今年は「Cocoon」(マームとジプシー)の演技も含め、青柳はとても注目されたのでは?
23日まで。