昨年1年の休憩期間を経て、2年ぶりに「BATIK トライアル」が復活した。
その間に黒田育世は妊娠し今度母親になる。
黒田さんは、この日挨拶・MCを行い、これまでの活動と
今回のプログラムについて語った。黒田さんの過去の代表作の
いくつかをBATIKのダンサーたちが踊る。
そして新作が一つ。
この公演がいつも1000円で見られるというのは驚きである。
しかも、今回は何と!音楽を担当されている松本じろさんが
実際にいらしてギターの生演奏の中ダンサーが躍るプログラムも織り込まれた。
実際、生演奏で行われるパフォーミングアーツの公演を見てしまうと
録音された音楽を再生しながらパフォーマンスをする公演は
どこか物足りなくなってしまう。
ライブ感とアドリブから生まれるあやういバランスを観客は感じ
その一期一会性を見てさらに惹きこまれる。
今回は4つのプログラムからなる公演。「SHOKU-solo version」
これは黒田さんの出世作とでも言うもの。
パンツの中に手を入れて自慰行為をするというような
センセーショナルな捉え方をされたこともあったが、
そこにはある種の女性性というものを表現しようとしたものでもあった。
その黒田さんが母親になるという興味深い時期に改めて見ることが出来た。
懐中電灯をうまく小道具とライティングの道具として使っている。
続いて「all this smile」。初見。
黒田さんと古川日出男が組んでやったものらしい。
独特なトーンでシャープなダンス。
この日のダンサーは大江麻美子。
そして、名作の「モニカモニカ」が松本じろ演奏で梶本はるかが踊った。
梶本はショートヘアで若々しい、
この演目はダンサーによって印象がずいぶん変わるんだということを
感じた。
特に梶本はショートヘアなのでロングヘアの黒田さんと
印象がずいぶん違う。
それに加えて表情や身体のカタチなども含めての対比を感じて
とても興味深いものとなった。
いつもの休憩があり、カンパニーの方々から飲み物がサーブされる。
毎回、ここまでしていただいてと申し訳ない気持ちになる。
しかも、この日は松本じろさんのミニライブつき。
じろさんは関西弁を喋るんや!とこの日初めて知った。
最後に、カンパニーの西田弥生が振付をした新作「2013」
梶本はるか、寺西理恵、矢嶋久美子と西田弥生の4名のパフォーマンス。
使われる小道具は四角い椅子が四脚と小道具としてのサングラスやトウシューズ。
いろんなパターンのダンスがここに含まれており多様な表現が面白かった。
西田の振付に共通しているのはユーモラスな感覚。
それが前面に出て来ておりハッピーで前向きな気持ちになるダンスだった。
黒田さんのこれまでの振付とはまったく違う新たなトーンがここにある。
トウシューズを使ったのもとても効果的だと思った。
あの靴を履いてつま先立ちで踊るのを見るとやはり綺麗だなと感じる。