この映画も、野村芳太郎レトロスペクティブの一環。
この上映だけ、妙にたくさんのお客さんが入っていた。
よそでは滅多に上映されない作品なのだろう。
噺家の「快楽亭ブラック」が見に来ていた。
見た目はどうみても外国人であるのに、流暢な日本語で毒のある噺をする。
ていうか、彼は日本語以外を話さないのではないだろうか?
彼のブログを読むとものすごく日本映画を見ていることがわかる。
ストーリーはいたって簡単、
東京から北海道までの旅の道中でロマンスが芽生えというもの。
佐田啓二、高橋貞二や岡田茉莉子が出ている。
ここに岡田茉莉子の独特なナレーションが入るのが
この映画のいいところであり、変なところでもある。
タイトルロールのシーンでは、「タイトルは退屈なので、ちょっと別の話しを・・・。」
また、「ここまではリアリスティックを追求したロケーション、
ここからはセットです。」とかの茶化したナレーションが唐突に挿入される。
また、スーパーも同様。「明るく、楽しい、松竹映画。」
などというようなものが随所に挿入される。
野村芳太郎の反骨の意思の表れなのだろうか?
ラブコメディなら徹底的にコメディに徹する。
ウエルメイドでなくても構わない。
そんな、気持ちで映画を徹底的に遊んでいる。
これを見た松竹大船撮影所の城戸社長は激怒したらしい。
その後、野村芳太郎は仕事をホサれることになった。
鈴木清順監督の日活解雇事件とも似たエピソードである。