長沼博之は1982年生まれ、今年32歳になる。
何となく思うのはこれからの社会を大きく変えていくことになる
最初の世代がこの年齢あたりにあるのではないか?
と希望をもっている。
いままでの戦後高度経済成長などという価値観が
まったくない世代、新たな時代の価値を作ることのできる初めての世代
ではないか?という気がする。
もちろん年齢が上の世代にもそれがわかっている人は少なからずいる。
そういう少数派の理解ある人々(たとえば田原総一朗さん:今年80歳!)と
長沼さん世代が組むことにより世界は新たな展開を迎え
よりよい社会が拡がっていくかもしれない。
その理想と希望を楽観的に描いたのが本書。
そのために変えていかなければならないことはたくさんある。
特に現行の制度の問題を勇気ある官僚や民間企業が
変えていくことが出来ればこの流れが加速していくだろう。
そして、その変化の芽は現場レベルで始まりつつある。
長沼さんはその変化の芽を見つけ本書で多くの事例を紹介してくれている。
これらの変化をやりやすくするための仕組みを作ることで
私たちの社会はよりよく変わっていけるのだ!
という確信に満ちている。
そんなにうまくいくのか?という人もいるだろう。
もちろん、そんなに簡単にうまくいくはずはない。
がしかし、変化するということに自覚的であるということから
いくつものハードルを越えていくことが
私たちには求められている。
これは先進国と言われるすべての国の人々が
直面しているのではないだろうか?
そういう時代になったということなのだ。
日本では2004年から人口が減少し始めている。
何らかの移民政策などを採用しなけれなこの現象に歯止めはかからないだろう。
では、そういう中でわたしたちは何をしていくのか?
を考えていけなければならない。
そこで大切なのは
どのように働き社会に貢献していくこと
ではないだろうか?
長沼さんはその変化を「ワーク・デザイン」という言葉に置き換えている。
働き方が多様になり柔軟になっていくことのメリットが
具体的な事例をもとに語られる。
いくつかの属性に所属しながらそこで働き所得を得る方法を考える。
一つだけの仕事に長時間携わるという生き方ができにくくなっている現在だからこそ、
こうした働き方の新たなシフトにチャレンジしようということである。
そこには貨幣や株主中心主義の考え方を越えて
人のために何をし貢献するのか、どのように幸せをシェアするのか?
どのように労働をシェアするのか?どのように個人としてこの世界に向き合うべきなのか?
が各個人に問われるようになる時代でもある。
その自ら考え行動するということを乗り越えれば、
その先の新たな価値観で満ち溢れている世界が拡がっている。
長沼さんはそのことに確信をもって本書を著したのだと思った。