鴻上尚史作。深作健太演出。本作の初演は1990年だったらしい。
それから24年が経ての上演。
僕は残念ながら初演の舞台を見ることができず
今回の深作さん演出を初めて見るというカタチになった。
本作は日本劇団協議会が募集する「日本の演劇人を育てるプロジェクト」の一環。
映画監督の深作欣二の息子で、本人も映画監督である深作健太が演出を担当した。
映画監督で舞台の演出をされている方は何人かいる。
堤幸彦監督、本広克行監督、そして、行定勲監督など。
演劇の世界から映画の監督をされている人も何人かいる。
演出するというのに演劇と映画の大きな違いは何だろうか?とも思う。
映画はカットごとにシーンを設定して撮影する。
ワンカット数十分などという映画はめったにない。
演劇は暗転や幕などがあるものの基本、上演が始まったら、
そのまま終演までは演技が続くことになる。
それゆえ演劇には、1か月近くの稽古が必要になる。
映画の撮影現場はその稽古と本番が一体化したもののような気がするが、
実際に両方の演出をされている方に聞いてみたいなと思った。
本作は鴻上尚史が作・演出を務める若手俳優が中心となった
「虚構の劇団」の俳優たちに「柿喰う客」の七味まゆ味と、
「モダンスイマーズ」に所属している津村知与支を客演に迎えた。
七味は得体の知れない俳優である。
どれが本当の七味さんだかわからない。
まさに七変化の俳優さん。
本作でもいろんなキャラを演じ
それがいちいち違うキャラなのだが、
それを完全に違うものとして演じ分けをしている。
発声まで違い、それぞれの印象がまったく違って見える。
お笑い系のキャラからおしとやかで色っぽいキャラまで、
本当に同じ人なのか?と驚く。
一方の津村さんは津村さんらしさがそのまま、出ていて
どこを切っても津村さんという味が出ている。
俳優さんにもいろんなタイプの方がいるんだなあ!と感心する。
彼らを「虚構の劇団」の若手俳優が支える。
中でもチャーミングなのは、小野川晶。
丸顔のかわいい顔をしていながら、ギャグの切れがいい!
という二重の構造が彼女をより魅力的にしている。
舞台自体は戯曲を読んでいないのでわからないが、当時のままなんだろうか?
時代に合わせてエピソードなどは現代的になっているところもあるのだが、
今の時代に合わせて構成などを大胆に変えてテンポをもっと速くしていけば
さらに魅力的な舞台になるのでは?
特に後半にかけてスピード感が上がっていくといいのにな!と感じた。
21日まで。