20歳の国、第4回公演!第4回公演にして三鷹進出!
作・演出は竜史。1988年生まれ。
今回の舞台にも出演している。知的な若き青年。
いまどきの青年がこうした、80年代から90年代を彷彿とさせる
舞台を作ること自体がとても面白い。
一番、印象に残ったのが音楽。
劇中での音楽の使い方がいい。
カラオケスナックなども登場するのでそこでマイクを持って歌うのもまたいい。
カラオケで歌っている音楽がBGMとなり
その前で実際のセリフが発せられお芝居が進行する。
なかなか素敵な体験だった。
TVドラマを生で見ているみたいな・・・。
舞台でも、ハイバイの「手」にもそんなシーンがあったり、
東京デスロックの多田淳之介演出でもマイクを使う場面が登場している。
マイクで拡声されるだけで、なんだか舞台が劇的になるのがいい。
それは音量との関係があるのだろう。
これは実は、テレビでは絶対にできないし、
映画館でも限界がある。
ライブの演劇はそうした制約がないので軽々と乗り越えていける。
(もちろん音楽ライブもここに入るが)
本作を見ていて、まるで80年代後半から90年代にかけての
フジテレビ月9のトレンディドラマみたいなテイストだなあと思った。
バブルの祝祭性みたいなものがここにはあり、
それが舞台となっている海辺の街の風景と重なってさらに祝祭性が高まる。
映画で言うとホイチョイプロの映画「彼女が水着に着替えたら」とかサザンの桑田さんが
監督をした「稲村ジェーン」。そして、テレビドラマの「ビーチボーイズ」などを思い出す。
夏の海で何かが起きる?
若いころ、男たちは下半身を膨らませて日々そんなことを考えていた。
もちろん、自分もそうだった。
そういう時代を経て人間は大人になっていろんな経験を経て枯れていくのかもしれない。
そのためには多くのやんちゃな経験が必要なのだ。
セックスをしたい童貞の男と海辺の街にいる様々な人々の群像劇。
若手の俳優が何と19人も登場する。
見慣れない俳優ばかりなので最初、登場人物の相関関係がわからない。
ので、配役表を見ながらセリフの中で発せられる名前を聴いて確認する作業が続く、
しばらくしていると大体の相関図が見えてくるので、配役表をカバンにしまう。
場所は千葉か神奈川の海沿いの街。そんなに流行っている場所ではなく、そこそこな街だそう。
クドカンのドラマ「木更津キャッツアイ」の木更津的な感じ?(W)
そこで民宿を経営する一家がこの舞台の中心。
親父さんと長男と一番下の長女がそこで生計を立てている。
そこに東京から戻って来た次男。
次男は東京で俳優になると言って、俳優の卵として暮らしている。
なぜ、次男が帰って来たのかと言うと、長男が進行性のガンで
余命いくばくもないことが判明したから。
長男は治療をこばみ自然の進行に任せている。
この長男は28歳なんだけど童貞!
その長男が亡くなる前にセックスを!というストーリーが基軸になる。
「おじいちゃんにもセックスを」という宝島社の新聞広告の名コピーがあった。
コピーライターは前田知己さん。
ここでは「おにいちゃんにセックスを」だな。
親父さんの奥さんは41歳で他界している。
そこに街で暮らす若者たちや海の家のバイトの若者
などなどが集まりボーイミーツガールな夏が拡がる。
海で「ネルトン」遊びがありカップルになった男女は
海岸のここそこで「愛」という名の幻想の「ラブ・アフェア」に励む。
女優さんが海のシーンなので全員水着姿になるのもこの舞台の魅力かも(W)
音楽を使ってみんなでダンスする祝祭的なシーンの描き方が
映像的でもありなかなかいい。
ただ、欲を言うと
しんみりとしたシーンの説得力が弱い。
俳優の演技力か稽古の不足か?公演後半になってここが深まることを期待する。
コンパクトにまとめて最小限のセリフで魂のこすれを描けるようになれば
この竜史という劇作家・演出家は次のステージが用意されることだろう。
13日まで。


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