パレスチナ人俳優たちが演じる芥川龍之介の世界。
よくもこんなことを思いつくもんだと感心する。
アーティスティック・ディレクターとしてアルカサバ・シアター&シネマテークの創設者
ジョージ・イブラハム。このパレスチナのおじさんがずいぶん前に芥川の小説を読み、
もちろん黒沢映画の「羅生門」を見ていただろう。
彼の発案でこの原作を日本人の演出家が演出し
パレスチナの俳優でやりたいということから本作の準備が始まったそう。
まさに国際交流なども踏まえたF/Tらしい試み。
演出は坂田ゆかり、ドラマトゥルクは長島確。
自由席だったので前の方に座る。
幕が引かれており中は見えない。
そして俳優たちがカーテンの前に出て自己紹介するところからこの舞台は始まる。
そう、彼らはパレスチナ人でありパレスチナの名前を語る。
当たり前と言えば当たり前だがこの設定が
この舞台を多様な解釈が出来る状態にしていくことになる。
幕が開くとそこには見たこともないような不思議で美しい美術が拡がっていた。
これを見るだけでも本作を見る価値があるのではないでしょうか?
いったいどうやって作ったんだろう?と思えるような美術。
美術を担当したのが「目」というユニット荒川明香と南川憲二。
それは無数の星のようにも見えるし、原子と陽子のようにも見える。
それが舞台一面に拡がり、いろんなライティングが行われ
見え方が変わるのだ。
そこで俳優の口から語れれるのは芥川の羅生門であり藪の中である。
黒澤明監督の映画「羅生門」は芥川の「薮の中」を引用してあの映画にしたという。
戦乱の京都にある羅生門で何人もの人が経験したことを語る。
その構造は同じなのだが、
ここではそれを舞台ならではの造りに翻案している。
そしてパレスチナ人と演じるということで表現の仕方に工夫が見られており
それもとても興味深いものだった。
こうしたものを見るにあたって
パレスチナ問題やイスラムの国だからこその表現みたいなことを
知る場があるとさらにいいな!と思った。
そしたら入場無料で「まなびのアトリエ」と称したトークや上映会が
並行して行われているんだ!ということを知った!
仕事がなかったら毎日のように池袋地区に行くのに・・・。と少しだけ思った。
「藪の中」で描かれた芥川のテキストが語られる。
俳優たちがそれぞれの証言をし
殺人や強姦についての事が述べられる。
戦乱の世に生き残っていくために人間はどのようにしていかなければならないのか?
という根源的なことが問われる。
セックスシーンの象徴的な描き方がいい。
男女が舞台上で同じ場所で走る。
その走っているときの声が喘ぎ声に聞こえ、走りながら男女が絡まって行くさまが
何度か描写される。
これはまさにパレスチナ人俳優とのコラボの中で出て来た境界線上の演出だろう。
ギリギリのところで表現されたものは観客に確実に届くものだ。
とてもエロチックなシーンとなった。
そして殺人についても彼らの口から語られる。
真相は藪の中?なのか?
何が本当のことで何が作り話で何が現実かがわからなくなる。
戦争状態とはこういうことをいうのでは?
という今回のこの舞台の創作者全員からのメッセージじゃないの?と思った。
そのメッセージ性の強さはエンディングのシーンで明らかになる。
あの京都の戦乱の状況とパレスチナガザ地区との状況などが重なって見えてくる。
上演時間80分。9日まで。




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