薪伝実験劇団(中国)。演出:ワン・チョン これは衝撃的な舞台。
激しく毒々しいがむっちゃ面白い。
そんな体験が出来るまさにF/Tらしい冒険的で実験的な演劇公演だった。
中国本土にこうした演劇を作っている集団がいるのだ!ということにまず驚いた。
虚実ないまぜになっていく過程と演出の工夫が素晴らしく、
異世界へのトリップをしているような体験が出来る70分。
実はこの劇団、昨年のF/Tアワードを受賞している。
「地雷戦2・0」というもので1960年代のプロパガンダ映画を下敷きにしたものらしい。
(未見!涙・・・。)
ある種、反体制的な部分もある。
その葛藤が運動として表面化したのが天安門事件であり、
今度の香港で行われた学生中心のデモ「雨傘革命」(と巷で言われているらしい。)
だったのだろう。
その反体制的な考えから生まれくる表現には
激しいものがその内部にあるので、
見ているものの気持ちを強く動かす。
映画界でもチャン・イーモウなどの映画人が登場して
中国映画が新たな展開を見せて表現の幅が拡がった。
中国映画界の「第五世代」と言われている。
現在では王兵(ウォン・ビン)などが中国でそうした映画を作りつづけている。
体制と距離を置いてそこからなんとか
生み出される作品にはある種のチカラが宿っている。
そして、本作も同様の作品となった。
イプセンの「幽霊」(中国では「群鬼」と表記されるらしい)を下敷きに
現代の官二代に取りつく「幽霊」として描いている。
官二代とは高級官僚の子息のことである。
日本で言うところの親の七光り。
中国で起きた「俺の親父は李剛だ!」という事件を覚えているだろうか?
ネットでも拡散され話題になったが
飲酒運転をしていた官二代が上記の発言をした。
「親父は李剛さんか誰か知らんけど、お前は誰やねん!?」
ということである。
こうした人たちには
もっと謙虚にノブレス・オブリージュ的にふるまうことが求められる。
そしてこの事実を元に本公演では中国での出来事として
イプセンの戯曲が翻案された。
俳優たちがみんな上手い!
中国では俳優養成のシステムがきちんとできており
圧倒的な人口の中で生き残ったものたちなので
そのレベルが違うのだろう。
体当たりで激しい演技をする俳優たちに感心する。
こうした演劇の活動を本国でやるということはどういうことになるのだろう?
まずは、ちゃんと食っていけるのだろうか?と心配になる。
本舞台は映像を多用しており、その使い方がとても面白い。
天井からスクリーンがつられそこにカメラで撮影された映像が流される。
カメラは舞台上に4台ありスイッチングで4台のカメラの絵が
4分割で映し出されたり3分割になったり
1台のカメラの絵が大きく映し出されたりする。
カメラは俳優たちが自ら操作しアングルやポジションも
俳優たちに任せられる。
また、演出的な工夫として
カメラの上に白い布などがかけられ中が見えないようになっているのだが
その中に俳優が入りカメラに向かって演技すると
それがスクリーンに映し出されるのが面白い。
性や愛欲、近親相姦的なものを描いた戯曲をさらにワン・チョンは拡大していく。
そうするとさらに刺激的でセクシュアルな舞台がそこに拡がっていくのだった。
あの中国がこんなものを創るのか!と本当に驚いた。
おどろおどろしい韓国映画の秀作にも似たテイスト。
一見の価値有ります!ぜひ!24日まで。


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