この女体シェイクスピアシリーズも7作目。
そして7作目がこれまでの中で一番怖くえぐく美しい舞台だった。
十数人の女優さんが出ていたこともあったが、今回は厳選の7名。
七人の侍であり荒野の7人である。
リチャード三世を演じるのは安藤聖。
僕はこの女優さんが好きで応援している。
生まれつき手足の不自由なリチャードがどんどんと出世していき、
他人を信じられないリチャードは次々と身近なものを殺していくのだ。
親にも見捨てられていたリチャードは、
親の愛を一身に受けていないがために、
そんな性格になってしまったのだろうか?
安藤の言い方がさらに怖さを増す。
男の子を想起させる安藤の風貌と発声。
その少年みたいな子がなぜこんなにむごいことを平気でやるのか?
最近日本でもお年寄りや子供を平気で殺してしまっている
大学生や20代前半の若者の事件が相次いでいるが、まさにそんな感じ。
悪漢小説を読むようにリチャードはどんどんと過激になっていく。
現在の世界でもこうした事例はあるだろう。
権力をどのように扱うのかが指導者には問われる。
その使い方がリチャードのように独裁的であれば
住民や家来、臣民、側近など誰もついていかないだろう。
最後にはリチャードはその圧倒的な孤独の中で死ぬことになる。
シェイクスピアのこの舞台はそれをストレートに描く。
中屋敷法仁(脚色・演出)はこの原作から
怖くて酷いというエッセンスを中心に取り出してわかりやすく
再構成してくれている。
女優たちは全員黒のドレスを身にまとい、
まるでここは銀座のフォーマルなクラブか?というような感じ。
でもあの時代のこうした王族階級の人たちって
そんな洋服をいつも着ていたのだろう。
それをこの女体シリーズではドレスに置き換え、
女優さんたちのセクシーな身体を感じられる。
ハイヒールに網タイツ、レースの黒いドレス。
大きく背中が空いたり、二の腕が露出したりしている。
そのセクシーな女たちが相手を激しい言葉で罵倒し呪う。
M的な要素がある人はそれだけでもそそられてしまうのでは?
そんな要素を持った舞台。
他に内田亜希子、岡田あがさ、七味まゆみ、葉丸あすか、
深谷由梨香、八坂沙織。2月17日まで、その後大阪、大垣公演がある。

