中屋敷法仁 演出。柿喰う客の公演と同時期の上演。
まったくタイプの違う舞台を中屋敷は器用に演出している。
柿喰う客の「女体シェイクスピアシリーズ」はいつもの柿喰う客。
そして、このTRIPLE IMPACTは、やはり、
つか演劇らしさに満ちている。
つかこうへいのあのセリフには、
ある種のトーンを決めてしまえるような強さがあるのだろう。
それを丁寧にすくって中屋敷はこの「ロマンス2015」を完成させた。
観客は女性客が多い。若いイケメンの俳優たちがたくさん出ている。
女優は紅一点、杉ありさのみ。
なぜ男優ばかりなのか?は舞台を見ればよくわかる。
これは同性愛のボーイズラブの話でもあるのだ。
レディコミなどでも良く取り上げられる、美少年たち同士のボーイズラブが
女性の心を捉えるという現象が昔からあるのはどういうことなんだろう
といつも不思議に思っていた。
男子1500メートル水泳の競技を行う選手たちという設定。
アトランタとかシドニーなどのオリンピックの開催国の名前が出てくる。
そしてライバルでもあり同じ志を持った仲間でもある男の子たちが
お互いに好きになっていく。
そして、その少年たちが新宿2丁目でゲイバーを経営するところまでの
半生が描かれる。
LGBTの割合は20人に1人と言われる。
その5%という少数者に生まれてしまったことへの哀しさが
この戯曲には描かれている。
つかこうへいが在日朝鮮人で日本での
少数派だったことにも関連があるのではないだろうか?
そしてつかは、そうした少数派の人たちに光を当て
彼らの生きざまを温かい視点で見せてくれるのだ。
誰にでもある葛藤や悩みを拡大して演劇的して!
これが、つかこうへいたる所以であり、それが多くの人の気持ちを打つ。
若き俳優たちは、その戯曲を読み込んで懸命に演じていた。
何もない空間にあるのは少数の俳優たちの身体と声、
そして照明効果と音楽だけである。
俳優に対して課されるものが必然的に大きくなる。
それを演技して乗り越えることによって、
若者たちはさらなる高みに登ろうとしているのだろう。
若い彼らを温かく見守る女性観客たちがそこに居た。
そして、ある境界を超えていけば
さらに多くの人に届くことのできる舞台となっていくのだろう。
22日まで。
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