このTRIPLE IMPACTも終盤を迎え、
ついに最後の演目「いつも心に太陽を」が始まった。
演出は岡村俊一。つかさんが亡くなった翌年だったか、
シアターコクーンで「広島に原爆を落とす日」を見た。
その時の演出家が岡村さんだった。
あの70年代から80年代のつか演劇の熱狂が岡村演出にはあるなああ!
と感心した記憶がある。
そして本作も岡村は同様に70年代から80年代の
つか演劇の持つあの熱気を再現させてくれる。
TRIPLE IMPACTの前作「ロマンス2015」が
耽美的なボーイズラブに焦点をあてているのに対し、
今回は男臭い笑いと情熱とドロドロを描いている。
その男性同士の交情はゲイの恋愛というだけではなく
独特の男性同士の交流を描いているように思えてならない。
蒲田行進曲の銀ちゃんとヤスとの関係にも似た、
任侠的な男のドロドロとした愛情が渦巻く、そんな舞台になっていた。
男臭く汗臭い、それをD‐BOYSのメンバーやテニスの王子様などに
出演しているイケメンたちが演じている。
そのギャップがいい意味でのエンターテイメントに昇華していってる。
まったく美術セットのない中で音楽と小道具だけで、
男子1500メートル水泳選手たちの高校時代?から晩年までが描かれる。
おかまの高校の先生の独白、一緒に住むようになった柳下大と高橋龍輝の関係、
男同士の激しい恋愛が激しい口調で描かれ演じられる。
その激しさがつかこうへいらしさであり、
その熱気を岡村俊一はよーく理解している。
だからこそ、こうした演出ができ、そして観客が楽しめる
熱いエンターテイメントになる。
こうした方向の演劇が少なくなった今、改めて1か月近く
つか演劇で伝説となった紀伊国屋ホールでの上演が行われるということは
何かの必然であるのだろう。
カーテンコール後につかこうへいの過去の名作のダイジェストを
つかこうへい予告編と銘打ち、各俳優が名場面を演じる。
これもとてもつかファンには楽しい。
つかファン、D‐BOYSファン、そしてテニスの王子様ファン、
LGBTの人たちなどなどが集まり紀伊国屋ホールは独特の熱気をはらんでいた。