2014年7月発行。ドラッカーも論語も何度も何度も取り上げられ
こうした書籍がたくさん出ている。
論語は紀元前1000年以上前に書かれ、ドラッカーは20世紀。
数千年の時間を超えて同じようなことを言っている人がいるという
目の付け所が面白い。
そして安富さんはドラッカーと孔子の共通点を見い出しながら論を進めていく。
ここで言われるのが「仁」の思想である。言わずと知れた「仁義」の「仁」である。
その心なくしては、いけないと。
それは生きて行くための指針であり経営をする指針である、と。
なんでも突き詰めて考えていけばある哲学となり、
その結果はどのプロセスを経ても同じである。
僕がこのことにようやく気づいたのは40代の半ばを過ぎてだった。
徳を以て政を為す。
という論語の言葉があるが、まさにその言葉にすべてが集約されていると言っても
過言ではない。これは為政者であっても経営者であっても同じなんですよ。
ドラッカーの書いた、名著「マネジメント」でも同じことを言っているんですよ
と安富さんは説く。
しかも、本書の面白いところは、根本的な生き方や経営の哲学を説きながらも、
新たなコンテンツや時代を見据えて語っているところにある。
まず「もしドラ」の夏海さんの著書について、このベストセラーが
ドラッカーをとても理解して描かれており、最後のところで、
その論理が物語に跳躍しているのです、とわかりやすく語ってくれる。
友人の病気などの感情がドラマを作り、
そのドラマがドラッカーの理論を超えてエンタメになっていると。
そのエンタメ感を安富さんは理解しつつクールに「もしドラ」を分析する。
また、ドラッカーが亡くなるときにはいまのようにIT社会ではなかったのだが、
その論理を現在のIT化の世界に置き換えて説明していく。
生涯、学び続けることがここでも重要なことであり
ネットの発達によって学び方が大きく開かれている時代だからこそ、
その環境を積極的に活用して、次世代のドラッカーみたいな人が
生まれてくるといいな。と思った。
本書は編集の方が安富さんの語りを文字おこしをして再構成したものらしい。
ときどき話が飛んだり飛躍したりするのが少し気になった。
編集者の技量かな?
最後に少しだけ引用する。
いかなる素質であっても、学ぶ、ということがなければ、欠陥になってしまうのである。
学ばなくてはイノベーションできない。イノベーションに成功しても、その成功に
しがみついて学ばなくなれば、草ぼうぼうになる。つまり、学んでも、学んでも
そこで終わりになることはない。
まさに、生涯学習。