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僕が初めて青年団の舞台を見たのが、1996年こまばアゴラ劇場で 上演された「冒険王」(初演)だった。 当時、CMディレクターだった山内ケンジさん (※ 現在は劇作家・演出家として演劇の世界で活躍され、 先日、岸田戯曲賞を受賞された。)に、仕事の打ち合わせの時に、 「面白い演劇を教えてください」と聴いて教えてもらったのが この「青年団」という劇団だった。 当時の「冒険王」のチラシを見ると山内健司さんとキャストのところに書かれていたので、 その時は山内ケンジさん本人が出演しているのか?と勘違いしてしまった。 後になって山内ケンジさんは青年団の俳優の山内健司さんと 同姓同名だったということが判明する。 その山内ケンジさんと初演観劇の時に アゴラの向かいの喫茶店でばったり出くわしとときは、あれ?どうなっているの?と思った。 山内ケンジさんは、その後、演劇活動を始められ、 同姓同名の俳優である山内健司さんとは別人ですということを わかりやすくするために健司をカタカナの「ケンジ」という表記にされた。 と、山内さん話が長くなってしまったが、 そのことがきっかけで青年団を見るようになり、 それから約20年近く青年団の舞台を見続けることになった。 同時に、平田オリザの書いた著書を買って読むようにもなった。 20年近く前に初めて購入した平田さんの本が 「新版・十六歳のオリザの未だかつてためしのない勇気が到達した最後の点と、 到達しえた極限とを明らかにして、上々の首尾にいたった 世界一周自転車旅行の冒険をしるす本」というものだった。 1996年の発行とあるので、出版されたその時に劇場で購入したのだろう。 青年団の舞台を見て上演後、平田さんの本を買って帰る、 これはとても幸せな体験である。 何度も平田さんの言葉を反芻し思い出す。 舞台のことを考え演劇とそこから派生する世界のことを考える。 そうした知的好奇心に満ちた経験が出来るのが 演劇の素敵なところである。 そして、再再演の本作は、まさに知的好奇心をビシビシと刺激する舞台だった。 トルコのイスタンブールにあるバックパッカーたちが宿泊する安宿。 時代は1980年。世界ではいろんな事件が起きている。 折込の中に1980年あたりに世界で起こったことが記されているので 若い人たちはこれを読んでから舞台を見るとその奥深さに さらなる好奇心が刺激されるだろう。 若者が海外に旅をしに行かなくなったと言われている現在ではあるが、 1980年代はまさにバックパック旅行がブームにならんとした時代だった。 「地球の歩き方」というガイドブックを手に リュックサックをかついで海外を放浪する若者たちがたくさんいた。 僕も、1960年代に出版されたものだが、小田実の「何でも見てやろう」という 本に触発され、海外旅行にあこがれた。 建築家の安藤忠雄は建築家になる前の20代半ばに世界中を放浪して 建築物を見て歩いている。 そして、そうした旅をする人たちは基本的に一人で旅をしている。 本作の平田オリザも1970年代後半に自転車で世界一周をしている。 その時の体験と1980年あたりの時代背景をひもといて書かれたのが この「冒険王」である。 今回見て思ったのは、このイスタンブールの安宿に集まる 若者たちの会話が知性に満ち溢れているということ。 彼らのセリフから世界が変わっていくことがわかる。 ユーゴスラビアではチトーが亡くなり、 その後この場所は大変な戦争が起きることを私たちは知っている。 アフガニスタンやイラン、シリアなどの情勢も語られ、 その後これらの場所で起きる様々ないさかいのことを思い、 見ていて悲しい気持ちになる。 韓国では光州事件などが起き、市民と国家の間に緊張関係が生まれる。 ソビエト連邦が崩壊する前であり、 中国の天安門事件が起きる前の出来事である。 米ドルの闇両替をする国もあった。そんな時代。 グローバル化などという言葉がまだない時に、 迷える日本人たちは海外に旅をすることによって 自分の人生を模索していたのかもしれない。 何気ない日常会話から彼らの内面世界を浮き上がらせることに成功している。 そこには丁寧に紡がれた戯曲と、それを演じる完璧に訓練された俳優がいて、 その俳優たちを完璧なまでの時間管理で演出している演出家がいる。 それらの要素が揃って、初めて優れた舞台が成立する。 「冒険王」の演出に関しては、想田和弘監督が作った ドキュメンタリー映画「演劇1」「演劇2」を見ると詳細に記録されている。 平田さんの「あと0・何秒早く喋って」などの具体的な演出のシーンが描かれている。 平田さんはその技術を応用してロボット演劇にも挑戦している。 ロボットが喋る速さや間のとり方をプログラムし、 ロボットの喋り方や間合いが違和感なく作られている。 この技術は今後「ペッパー」などのプログラムなどにも応用されるといいなと 個人的に思う。 イスタンブールの安宿には二段ベッドが三つと普通のベッドが一つ置かれている。 1泊200円とかの金額で宿泊できる宿。 男女同室で、真ん中に小さなテーブルが置かれ、 大抵はここでみんなで料理をして一緒に食事をするらしい。 旅の途中で出会った人たちの共同体のような場所である。 だらだらと過ごしている日々なのだが、 よーく見ていると内面で様々な葛藤があることが想像される。 それを平田さんは自然なセリフだけで描いていく。 読み終わった本を誰かにあげて、その互酬として、 紅茶などをもらったりする。 移動する時は身軽な方がいいので重くなるものは誰かにあげ いらなくなったものは必要な人に所有権が移動する。 より多くを独占するという文化ではなく、 必要最小限のものをシェアしながら暮らすという生き方。 こうした生活が実はとても人間的で豊かなのでは? と彼らを見ていて思うようになる。 そして、いろんな国からやって来た彼らは イスタンブールの小さな宿に集まってそれぞれ体験してきたことを話しあい、 これから体験するだろう旅を想像しているのだろう。 旅にはそういう効用がある。 ヘンリーミラーやサルトルが死んだ話をし、金子光晴の詩を読む人たち。 サラリーマンを辞めて、30歳後半まで旅を続ける人。 元高校教師でギリシアで針金細工を売っている男、などなど。 様々な人の人生の一瞬を切り取りながら 同時に、その人たちの人生が見えてくる。 この安宿はそうした場所なんだな?と思いながら吉祥寺シアターを後にした。 上演後、文芸別冊の「総特集 平田オリザ」を購入。 ものすごく読み応えのあるムックである。 29日まで。その後、ソウル公演がある。
by haruharuyama
| 2015-06-13 09:29
| 舞台
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