子供たちの夏休みが始まった。
今年は海の日の前が土日になっていたので7月18日からの大型夏休みである。
そして、夏休みと言えば「子供と一緒にどこいくの?」である。
ジブリ映画も数年ごとの夏に公開される。
そして、舞台と言えばこの「子供のためのシェイクスピアカンパニー」である。
高校生以下の子供たちは大人料金の半額以下の2000円という料金設定がいい。
そして劇場には背の低いお子様用のいすの下に敷くクッションが用意されている。
この日も家族みんなでとか親子で観劇に来ているお客さんがたくさんいた。
わたしの家は貧乏だったので子供の頃に観劇をすると言う経験をしたことはなかったが、
こうして子供の時に優れた演劇体験をするのはとてもいい!
このカンパニーのシェイクスピアの公演はとてもわかりやすい。
脚本・演出の山崎清介が物語の骨格だけを取り出し、
お話の構造をわかりやすく示してくれる。
わたしなどは、
シェイクスピアはこんな物語を考えていたのか!?
ということを
このカンパニーで描かれるシェイクスピアを見ることで
初めて理解することが出来た。
シェイクスピアというと名場面と
そこにまつわる、美辞麗句で飾りたてた名セリフなどが取り上げられるが、
その名セリフの持つ
普段の現代口語にはない違和感から、
言葉が入ってこなく理解できず結局面白さが伝わらず、
なんだか難しかったねと言って帰るようなシェイクスピア劇を何度か見た。
もちろんシェイクピアファンに言わせると違う意見もあるのだろう。
このカンパニーはまったく違うやり方で物語の骨格を整理し、
簡素なセットで子供たちの想像力を引き出していくと言う手法をとっている。
子供たちが飽きないように何分かに1回、
物語の本筋に添えるスパイスのような笑いをまぶしているのも
このカンパニーの特徴である。
たくさんの飼い犬や刑事が登場したり相撲の取り組みのシーンが
決闘のシーンに置き換えられたりする。
そうして身近な感覚で身近に感じてもらいつつ
シェイクスピアの描く
物語の構造に観客をひきこんでいくのだ。
本作は、ある国で対立している家同士の娘と息子が恋に落ちる。
世間では許されない恋なのだが、当人たちは死ぬほど真剣。
それを聴いた神父さんがある計画をするのだが。
神父役の伊沢磨紀は、このカンパニーの看板でもある。
女優としてもう何十年もこのカンパニーで演じ続けている。
俳優は総勢9名プラスいつも出てくる「シェイクスピア人形」の10人。
実際の戯曲の登場人物が多いので入れ代わり立ち代わり役が変わっていく。
重要な役の時にはそれなりの衣装を着て、
それ以外の時には黒いコートと黒い帽子をかぶる。(黒子のような)
舞台の転換時には俳優たちのクラップ(手拍子)が打ち鳴らされ、
そこで場面が変わっていく。
美術セットはシンプルな椅子と机が置かれ積まれ配置され様々なシーンを作っていく。
このやり方はこカンパニー独特であり一見の価値ある手法である。
個人的にこの手法が好きで、結局毎回このカンパニーの公演を見に行っている。
21日まで。