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当日券狙いで代休の日の12時に劇場へ到着した。 14時からの公演の当日券は1時間前の13時から売り出される。 1時間前だと楽勝かな?と思っていたら もう40人ほどが並んでいた! とはいえ、プレイハウスはキャパがあるので 前回もこの辺の場所なら少なくとも立見席で見ることが出来たなと思い、 図書館から借りてきた「ワーク・ルールズ!」という グーグルの採用担当者が書いた本を読みながら待つ。 そして、そのあとも次々と当日券のお客様がやってきて、 ついには列の長さは100メートルを超えた! ということは100人以上の当日券狙いの方々が並んだということになる。 係りの方がやってきて人数を数えだし、 この辺の方は立ち見です、この辺の方々は立ち見も微妙ですという説明にやってくる。 そして13時になり当日券発売開始。 席をそれぞれが選ぶ方式なので時間がかかる。 任意の席をどんどんと渡していくということではいけないのだろうか? 1時間待って、チケット売り場に到達するのにそれから30分かかった。 そして、当日券まであと5人という時に、 この日、チケットが余っているからいかがですか?と声をかけていただいた。 即、譲っていただくことにした。 こうしたご縁みたいなことが何度かある。 不思議なものでこれが演劇の縁とでもいうものなのだろうか。 さくっと「蒙古タンメン中本」で「蒙古タンメン」を食べて劇場に。 シンプルな舞台は野田マップらしい。 そして松たか子の立ち姿や動きが美しい。 松さんの舞台女優としてさらにいいのは発声である。 ものすごく聞き取りやすく通る声を彼女はもっている。 生まれつきなのかもしれないが、藤間家の伝統が彼女をそうした 発声ができるようにしたのか?それとも後天的な努力なのか? 松さんは歌もおやりになるので、基本的なボイストレーニングが できているのかも知れない。 彼女が人魚を演じる。緑の長いウィッグがいい。初音ミクを思い出す。 ひびのこずえさんの衣装も美しくPOPである。 日本のPOPカルチャー的な要素がこうした舞台になる。 松さん以外にも、 瑛太、阿部サダヲ、井上真央、池田成志、銀粉蝶、 そして満島真之介(満島ひかりの弟!)に野田秀樹というキャスティング。 さらには舞台中で野田さんの舞台に何度も出ている大女優が サプライズで登場します。(見てのお楽しみ) 野田地図らしく、いつものアンサンブルを行う俳優たちも登場し シンプルな背景に華やかな衣装をまとった たくさんの俳優たちが登場する豪華な舞台である。 「逆鱗」とは人魚、人間の首筋から出てくるうろこのカケラのこと。 そこには字が書いてある。 その字を組み合わせていくとある秘密が見えてくる。 野田さんらしい言葉遊びと、その言葉遊びから来るイメージの連鎖が 舞台に再現されている。人魚をある水族館で魚たちと 一緒に展示することになったという荒唐無稽なお話。 そして人魚のオーディションが行われるのだが 本物を見抜くことができない。 本当に大切なものや本当のものを見失いがちになるのが 私たち人間の「性」なのかも知れない。 そしてイワシのように弱いココロを持った人間は いろんな事情に巻き込まれていくことになる。 イワシは魚偏に弱いと書くなあ!と思いながら聴いていると、 この舞台は70年の時間を超え、 私たちが過去に行って来た愚行をあぶりだしていくのである。 これ以上書くとネタバレになるのでやめるが、 野田さんはこの舞台で強烈な反戦を訴えかける作品を創り上げた。 ライカ犬をも思わせるラストシーンはあまりの寂しさで いたたまれなくなる。 そして私たちは二度とこのような「愚行」を繰り返さない!と言えるのか? そのためにはこうした芸術活動などを通して 語りつづけていかなければいけないのだろう。 野田さんはそれをやり続けている。 出来るだけ多くの人がこの舞台を生で見て考えて劇場を出る、 そんな体験をして欲しいと思うのでした。 3月13日まで。その後、大阪、北九州。
by haruharuyama
| 2016-02-05 07:37
| 舞台
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