グーグルの人事担当最高責任者が書いた。
グーグルで実際に行われている人事採用や人事教育などの
具体的事例が紹介されている。
副題は「君の生き方とリーダーシップを変える」
「How Google Works」とともにグーグル社の現状を
ここまでつまびらかにしていていいのか?とすら思うのだが、
それがグーグルという会社なんだな、とも思う。
悔しかったら俺たちみたいに組織を作って採用して組織運営を
行ってみたらいかがでしょうか?と言われているのかも知れない。
そのためには、今までの制度に対して疑う姿勢が必要だし、
その後のトライアンドエラーの結果が現在のグーグルの現状と重なっているのだから、
他の組織も一朝一夕にできるという代物ではない。
ただ、ここで書かれていることはいちいち納得できることばかり。
そこにはデータ主義とそれに伴う論理的合理性と多面的な視点があるのだ。
自らの会社のことを知りいつも考えているので
自然と会社のフィロソフィーが身に付き
その会社の文化の中でベストパフォーマンスを実行することができるようになる。
そして、そうできる人材を採用することが
人事担当者の責務である。
グーグルは急成長した会社なので一時は
1年に1万人の雇用を確保することもあったそうである。
その時ですら、やみくもに人を増やすのではなく
じっくりと検討して、採用している。
そうなると採用に時間がかかりがちになるのだが、
いろんなデータを分析した結果4回以上面談しても
効果がさしてかわらないことが判明して、面談をできるだけ短期間に済ませ
面談者同士が長期間拘束されないような仕組みを構築したらしい。
結果、社員の面談に対しての拘束時間も減少する。
また、グーグルで働く人は「創業者のようにふるまえ」ということを実行しているらしい。
これは会社から与えられた仕事だけをやるのでなく、
自ら課題を発見し解決すること新たなアイデアで試行錯誤することを
個々でやってみようということである。
そこには責任も伴うし、考え続けることが問われてくる。
それは経営者だけが考え実行するものではなく
現場で働くすべての人たちが能動的に考え、自らトライアンドエラーを重ねて
進んでいくことが奨励されている。
トライアンドエラーを繰り返すと、失敗も増える。
もちろん、グーグルは、失敗することを奨励すらしているのである。
リスクを取らず何もしないことがもっともよくないことであるということが
本書を読むと良くわかる。
本書はこうした哲学の下で実際にラズロさんが行って来た事例が詳細に書かれている。
自分の会社に置き換えて参考になることがたくさんあるのではないでしょうか?
そして、採用に手間をかけ、彼らが長くいられる仕組みを作り、
さらには社内で繰り返し教育していくシステムを構築していくこと。
これはまさに人事をベースにした経営戦略の書とも言えよう。
560ページもある大作だが1週間もあれば何とか読めるのでは?
鬼澤 忍 (翻訳), 矢羽野 薫 (翻訳)