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鄭着信と新国立劇場がタッグを組んだ傑作昭和の三部作の第二弾。 こうしてまとめて三部作を上演する意義に ついて考えた。鄭さんの戯曲は人間に対する肯定に満ち満ちている。 故人となった立川談志が落語のことを人間の「業」の 肯定であると語っていたが、鄭さんの本舞台もまさにそれ! どうしようもない人たちが懸命に生きているそうした市井の人々に暖かい眼差しを向けて そっと見守る。そんな舞台です。 その視点が本作のタイトルによく現れている「野に咲く花のように」 ひっそりと誰からも注目されず生きている人々の暮らしが一番貴重で愛おしいのではないか? というメッセージが聞こえてくる。 舞台は九州の北の方だと思われる海沿いの地方都市。 九州は朝鮮半島にとても近い場所にある。そこのダンスホールが本作の舞台となっている。 下手に扉があり電柱が最下手にあり奥に道が抜けている。 舞台上手は大きな窓があり、窓の奥に中庭がある。奥はバーカウンターとなっており、 さらに奥は厨房がある。舞台真ん中よりやや下手側に階段があり二階に続いている。 二階はこのダンスホールで働く女性たちの部屋と職場を兼ねている。 1階のホールで出会い、気に入った女性と2階で一夜を過ごす。 そうしたホールがあったのだろう。 戦後数年経った1951年。 朝鮮戦争が行われ、戦後の日本は戦争特需で浮かれ始めている。 ここにいる三人のホステスを中心に舞台は進行していく。 ともさかりえ、池谷のぶえ、小飯塚貴世江。 アラフォーとなったベテランのホステスたち。 近くにホステスが50人もいるダンスホールが新しく開店した。 そこの経営者である男(山口馬木也)がこのダンスホールにやってきて、 ともさかりえに一目惚れをする。 ともさかの立ち姿がいい。ほっそりとしていていまにも折れそうな身体。 そのともさかと山口がダンスをする。 細い身体が山口の身体と絡みえもいわれぬセクシュアリティがそこにある。 高野文子の漫画「るきさん」のような姿のともさかりえは在日朝鮮人として 弟と一緒にこの街で暮らしている。 この姉弟は戦時中に、日本に協力した。そして戦後も故郷の朝鮮半島に帰れない。 そんな在日朝鮮人の人がたくさんいたらしいと聞いたことがある。 ともさかは、戦争に行って戻ってこない夫の消息がわからないまま 一人この店で働いている。仕事が見つからない弟は朝鮮戦争が始まったことによって 同胞の在日朝鮮人たちと戦争協力をしている会社などに火炎瓶を投げたりしているのだ。 朝鮮をやっつける奴は許さない。 しかし、彼らは日本にとどまっており故国には戻れない。 ときどき、朝鮮半島に爆撃にいく戦闘機の轟音が響き渡る。 本作は鄭着信三部作の中で最も反戦のメッセージの濃い作品である。 ともさかに一目惚れした山口はダンスホールを開業するまえに 毛布などを作る織物工場を経営しており、それが朝鮮戦争特需で大儲けとなった。 その金で工場を増やし、家を買い車を買い、さらにはダンスホールを買った。 山口は太平洋戦争で南方に送られ大変な経験をしている。 山口には若い婚約者(村川絵梨)がいるのだが・・・どこか満たされない。 山口はともさかりえと出会うことによって熱烈な恋に落ちる。 婚約者は山口から別れ話を切り出されるのだが、 諦めきれなくて山口のことを憎むようになる。 愛憎相半ばする関係にともさかりえとその弟(黄川田将也)が巻き込まれていく。 本当に好きになるということは相手のことを 真剣におもんばかることだということが舞台を通じて見ていると伝わってくる。 自分のすべてを相手に捧げる無償の愛と戦争という行為が同時並行的に描かれ、 その対比がさらに反戦へのメッセージを強くする。 本作で印象に残るのがホステスの池谷のぶえ。 彼女の元に通う海上保安庁に勤務する男(大石継太)とのエピソードがいい。 池谷のおおらかな九州のおばちゃんと大石を思う少女のような女性とが共存している。 その間の揺れを池谷が表現する。思わずうるうるっとしてしまう。 笑いと涙は表裏一体。 さきほどの談志師匠の「業」の肯定の姿をこの舞台に見て、 私たちはまたまた心が震えるのである。 鈴木裕美の丁寧な演出に関心する。 そして本水を使った操演や照明など印象に残る一作である。 初日、当日券で観劇。開演5分前でもチケット取れました。 2時間10分。24日まで。
by haruharuyama
| 2016-04-07 10:05
| 舞台
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