「第三の波」という本が1980年代に発売され大ブームとなった。
その著者アルビン・トフラーが妻と書いた、この世界の未来を予言する本。
2006年6月発行!原題は「Revolutionary Wealth」
現在、アルビン・トフラーは86歳。ということは、本書は76歳の時に書かれたものである。
上下二巻の大作。もしかしてトフラー最後の大作なのかもしれない。
10年経っても書かれていることにまったく古さを感じない。
というのもトフラー夫妻は物事の本質を見つめ世界を、
米国を観察し続けているからだろう。
その知の集積が本書の中にある。
広大な宇宙を自由に旅するかのような知的な快楽に満ちている。
トフラーの言う、第一の波とは農業革命である。農耕定住を始めて、人間は社会を作るようになった。
日本で言えば弥生時代だろうか?
そして19世紀後半に起きた産業革命(トフラーは工業革命などと言っているが)が
第二の波、そして20世紀後半に起こった革命が知識や情報の革命!
これをトフラーは「第三の波」と呼ぶ。
インターネットが普及しコンピューターが普通の道具になり
スマホをすべての人たちが持つようになった。
その波がやってくると国家という枠組みが重要なものではなくなり、すべてがフラット化していく。
これからは貨幣というものすらフラット化していくのだろう。
格差は徐々に亡くなっていき、平均年齢は上がり、インフラは整備されていく。
そしてすべての人類の地域格差などがなくなりロボットやAIを使って
人は豊かになっていくとトフラーは予測する。
そのためには小規模発電などのテクノロジーを発展させ効率よくエネルギーを
自給できる仕組みを拡げる必要がある。
その時には現在の知識偏重型の教育システムは終わりをつげ
新たな教育システムが始まるだろう。
プログラミング教育や反転授業などのその端緒が見え始めている。
知識教育にチカラを入れている中国やインドが
これからの覇者になり、その後さらにそれが拡がり、
アフリカの人々にまで拡がり世界はフラット化していく。
トフラーが最終章で書いている文章を引用する。
第二の波から、経済中心の考え方が生まれた。文化、宗教、芸術は
すべて副次的な重要性しかもっておらず、マルクスによれば、
経済によって決定される。
だが、第三の波の革命的な富では、知識の重要性が高まっていく。
その結果、経済は大きなシステムの一部という地位に戻り、
良かれ悪しかれ、文化、宗教、倫理などが舞台の中央に戻ってくる。
なーるほど、高度資本主義が終わりを迎えつつあるまさに今、
私たちの意識を「第三の波」の富のもとで変えていく必要があるという時代が
そこに来ている。
その時に大切なのが「ココロ」の問題である、ということがヒシヒシと伝わってくる。