作:綾門優季、演出:徳地弘基。上演時間60分。出演、新田佑梨、鶴田理沙、坂倉花奈。
もともと、一人芝居用に綾門が書いたものを、徳地演出で3人の女優が演じるようにしたらしい。
最初、そんなことをまったく知らない状態で見た。
見ていて、これって同じ人の話じゃないの?とセリフがつながっていく様を見ていて思いながらも、
どうもよくわからない。これは幻想なのか、夢なのか?と思いながら見ていて、
そのまま舞台が終わってしまった。
アフタートークで作家の綾門が実はこれは一人芝居用に作った、
とおっしゃっていたのを聞いて、納得。
ある不眠症になって一睡もできなくなった女の話。
心療内科で睡眠薬を処方されるのだが,
薬を飲むと眠くなるのに眠れないという最悪の状態になり
睡眠薬をゴミ箱に放り投げ、この不眠とどうやってつきあうのかを考えもんもんとする。
それならば朝まで男とセックスをすればいい、と思い至るようになり、
毎晩、複数の男と関係を持つようになる。
それでも女の不眠症は治らない。
そして、女がセックスした相手はその日からまったく眠れなくなるのである。
まるで性病に感染するかのように不眠症が感染していくのだ。
女は乱交パーティなどにも出かけるようになり、
そこでまた多くの女性たちも不眠症になっていく。
乱交好きの人がどれくらいいるのかわからないが、
性行をするごとに不眠の人たちが爆発的に拡がっていくのだ。
奇妙な話ではあるのだが、お話自体は面白い。
こんな話なら赤裸々なシーンがあるのか?と思うのだが、
そこは言葉だけが浮遊し身体的な行動は何も変わらない。
その言葉だけでどれくらいこの物語を聞かせ見せていくのか?の手腕が問われてくる。
徳地の演出はあくまでシャープ。硬質な翻訳劇を見ているような感覚に襲われる。
サラケインの戯曲の舞台のように。サラケインは本人の独白な感覚が強かったが、
綾門は完全なフィクションとしてこれを創作したところが大きな違いではある。
サウンドデザインがいい。コーヒーミルの音や環境音などがミックスされ繰り返される。
その独特な音場の中、3人の女優たちの美しく通る声が聞こえてくる。
綾門が、まさかの寝落ちしそうな舞台だった!とアフタートークで語っていたが、
耳に心地よい空間が劇場内に拡がったのである。
能楽も眠たくなるというのは、同様の心地よさからくるものらしい。
不眠の題材を扱っている舞台で眠たくなるというこの不可解な舞台は、
同時上演している「止まらない子供たちが轢かれてゆく」とともに7月2日まで。
その後、京都、仙台。


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