劇団創設10周年の第十回公演。座付作家は中島淳彦。
彼の作・演出なので手堅いコメディに仕上がっている。
安心して見ることが出来た。登場人物は女性十名。
女子だけの登山隊を組んで、ヒマラヤに登る話。
準備や実行段階でいろいろなトラブルが起きる。
人間関係もしかり。そのゴタゴタが全然収まらないまま、
一丸となったチームワークなんてカケラもないままプロジェクトだけは前に進んでいく。
見ていて、いろいろ考える。舞台では、
この登山のプロジェクトは女だけなので細かいところで揉めたり、
人間関係がぎくしゃくしたりするのよ!などというような台詞があるのだが、
果たしてそうだろうか?
男の集団でも同じようなことが起きるのではないだろうか?
男は子供なのでもっとわかりやすいのかも知れないが、
ゴタゴタすることは同じだろう。
この女だけの濃密な集団を、男性である中島淳彦が書いていることに驚いた。
隊長の役が非常に興味深かった。
いろんな意見を聞いていると絶対にまとまらない。
強力なリーダーシップをとるまでにはカリスマ性はない。
そんな隊長の物事の進め方が、
このプロジェクトを本当に進めていくことの答えのひとつではないだろうかと思う。
優柔不断でときには悩み、多数決やその場の空気で決めていく。
しかしながら、意見の違う他者も平気で受け入る。
全く目的を同じくした集団を敢えて作ろうとはせずに、多様なまま進んでいく。
決して隊長は彼らを排除しようとはしない。
気持ちよく全体主義的にものごとが進んでいく筈はない。
そして、そのことを良しとしている。
但し、アンナプルナの頂上を目指す!
今度は、エベレストの頂上を目指すという大きな目標だけは揺るがない。
僕はここにリーダーのひとつのあるべき姿が存在するのではないかと思う。
結局、登山隊のメンバーは山が好きであるということだけは変わらない。
この十名の役者たちが、
舞台が好きで演ずることが好きだということだけは変わらないように。